2006/07/11

男の目指すべき道は - 「チョイワル」より「不良」 -

 暑い。クソ暑い。以前「夏だから、暑かぁー」という麦茶か何かのCMがあったが、本当に蒸し蒸しする。

 てな訳で週末、散髪に行った。店主「どがんしましょうか?」。筆者「暑かけん、バッサリ短めに」。店主「ヒデ(中田英寿)みたいにしましょかい」。

 で、出来上がったのが今の髪型で、どう見てもヒデにはほど遠い。鏡を見つめながら「はなわ(『佐賀県』を唄ったお笑いタレント)か、出川(哲朗)じゃないか」と思い至った。

 失意のうちに家に帰ったところ、勉強は不得手だが、やたらと調子の良い中二の三男が「よっ、チョイワルオヤジ!!」と冷やかしてきた。

 「チョイワルオヤジ」と言っても、ご年配の向きには分かりづらいだろうから、少し解説させていただく。

 主婦と生活社が出している男性ファッション誌「LEON」で有名になった流行り言葉。イタリア人エッセイストのジローラモが表紙を飾っている、売れ筋雑誌だ。一冊七百八十円。

 ところで、本連載を始めるにあたって、私は自らを「不良中年」と称したが、それと「チョイワルオヤジ」とは一体どこがどう違うのか?

 「不良中年」。私が初めてこの言葉に出合ったのは、作家の嵐山光三郎さんの文庫本(講談社)だ。その本のタイトルは『「不良中年」は楽しい』。

 嵐山光三郎。本名、祐乗坊英昭(ゆうじょうぼう・ひであき)。平凡社『太陽』の元編集長で、インテリ然としていない気取らない文体、文脈が楽しい。

 一読後、私は感動(!?)の余り10冊ほどを取り寄せ、同じ「不良中年」の臭いを振り撒いている連中に献本した。みんな、読んだか?

 何が面白いかって、生き方が尋常じゃない。『太陽』の編集長まで務めた御仁が、目指して乞食になり、仲間と新たに出版社を立ち上げたかと思ったら、儲けた金は株でスッカラカン。それでも凝りずにバイクにスキューバダイビング…。

 こうした "実体験" を通じて培われた「古今の人を見る目」は、凡人をして「なるほど、そうか」と思わず膝を打たせてしまうのである。博識、慧眼。

 この人の筆にかかったら、俳聖・松尾芭蕉も、ノーベル賞作家・川端康成も、平塚雷鳥(女性運動家)も、一休さんも…みーんな「不良○○」なのである。詳しくは本書を買ってお読み下さい。

 これに対し「チョイワル」方は、ファッショナブルで表層的。深みがない。やはり人間は生き方(中身)で勝負。目指すべき道は「不良○○」だと改めて思い直したが、『人は見た目が9割』(新潮社)という本が売れているのも何となく気がかりだ。髪はまだ伸びない。