2006/08/02

我々の商品は "感動" - 中退社員みごとに立ち直る -

 勤務半年、昨年10月、弊社を中途退職した元社員のA君からお手紙をいただいた。

 A君は福岡市の出身だったが、「田舎で地域情報化関係の仕事がしたい」と当社を志望した。学校の成績は優秀でほとんどが「優」。主任教授も自信をもって弊社に送り込んだ。

 学生時代から付き合っていた美人でスタイル抜群の彼女(福祉機関勤務)と二カ月後に電撃結婚。順風満帆に想えたサラリーマン人生のスタートだった。

 ところが "魔物" が潜んでいた。交通事故 - 。信号待ちで停車している三台の車と追突事故を起こしてしまった。朝早くから夜遅くまで働く "頑張り屋" であるが故の悲劇だった。

 重傷事故ではなかったが、一部被害者の執拗な電話攻勢に、真面目で実直なA君は次第に追い込まれていった。日に日に体重は落ち、頭髪には白いものまで出始めていた。

 欠勤も目立つようになった。筆者も心配になってアパートを訪れたが、固く閉ざされたドアと揺らめくカーテンの内部に新婚生活を偲ばせる雰囲気はなかった。10月末、A君は自己都合による退職願を出してきた。

 それから半年余の時が流れた。筆者も幾度か激励の手紙を出したり、また父上が弊社に立ち寄ったりしてくれていたが、芳しい状況報告は聞こえてこなかった。

 ところが、本日(8月1日)、待ちに待った嬉しい便りが届いた、のである。文面にはこう記してあった(要約) - 。

   ※    ※ 

 「入社して、わずか半年で退職という形になり、多くの方々にご迷惑をお掛けし、大変申し訳ありませんでした」

 私事ですが、いくつかの基本情報技術関連の資格取得のための勉強を3カ月ほど前より始めました」

 また、妻の妊娠も分かり、11月に出産をひかえている状況です。日に日に父親になるという実感が強くなり、喜びとともに、生まれてくる子供に自信を持って『自分が父親だ』と言える人間になりたい、と思っています」

 島原のことを右も左も分からぬ未熟な私に皆様が与えてくださった優しさは私の強い支えになりました。このような厳しさの中に温かさを感じられるような会社にはもう出会えないだろう、と思っています。本当にありがとうございました」

   ※    ※

 社内はいま出産ブームだ。朝礼でA君のことを話したら涙ぐむ社員までいた。一方で社員の家族に不幸もあった。勝利の数だけ敗北がある。また生の数だけ死がある。我々の商品はその間に位置する "感動" だと改めて思った。


1 Comments:

At 30/8/06 10:47, Anonymous 匿名 said...

人生七転び八起き!!まだまだ長い人生。
親父になるし(私は祖父さんになるけど)なお一層の精進を!!!
その節は大変お世話になりました。
これからの人生も見守って頂けませんでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
A君の父より

 

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