2006/07/28

とうとう酸素までも - 水も安全もタダではない!! -

 昔、旅行会社に勤務していた頃、ヨーロッパへ添乗で出かけた。もう30年近くも前の話である。飛行機の窓越しに眺めたロンドンの芝生の鮮やかさ。金融の中心・シティー、時計台。パリに渡ってセーヌ、シテ島、モンマルトル…。

 見るもの、聞くもの全てが驚きの連続だった。が、もう一つ驚いたものがあった。「有料の水」である。そんな訳で、日本で「エビアン」のボトルを見かけた時は少しくショックだった。

 現地の観光ガイドが良く言っていた。「皆さん、このあと帰国されて気づくことがあります。水と空気と安全がタダなのは日本だけですよ」と。

 その時は軽く聞き流していたが、今となっては日本もすっかり欧米並みになってしまった。つまりは「水」も「安全」も、ひいては「空気」までも有料で売られているのである。

 先日、コンビニをのぞいていたら、何と「酸素」のボトル缶が置いてあった。ストロングミントと、グレープフルーツの二種類で「ストレスと戦う現代人に - 吸うサプリメント」との印刷。

 一缶六百円。ちょうどタバコ二箱分の値段である。一瞬 "奥様の呆れ顔" が脳裏をかすめたが、気付いた時には二缶を抱えてレジーの前に並んでいた。

 実を言うと、タバコの代わりに「酸素」を吸うことを企てたのであるが、結果からすると "失敗" だった。ガムの時と同じで、試した後はさらにタバコへの思いが募るのである。

 いつだったか、雲仙きのこ本舗の楠田喜熊社長から訊かれた。「水1リットルと、ガソリン1リットル。さぁーて、どちらが高いでしょう」。「そりゃーガソリンでしょう」と、うっかり答えてしまったが、正解は「水の方が高い」だ。

 杉谷・熊野神社の湧水が三年ぶりに復活したというニュースがあったが、石油より高価な、本当に貴重な「資源」である。もっと大事にしなければ!!

 ところで、友人の堀強氏からメールをいただいた。有明弁でこう書かれていた。「もうジャゴロんやかましかごて鳴き出したけん、梅雨明けたない」と。

 全国各地に甚大な被害をもたらした今年の梅雨。島原でも全国ニュースで取り上げられるほどの時間雨量だったが、土石流災害は起きなかった。

 「長崎の宿舎で雨音を聞くたびに、島原で土石流が発生していないかどうか心配で眠れなかった」 - 。前の高田勇県知事の言葉が思い出される。

 地域の「安全」確保には、それこそ莫大なお金がかかっている。「それは昔のこと」などと "水に流して済" む話でない。国交省や県にも改めて感謝する必要性がある、と思う。