2006/08/12

ボクサー人生色々 - 魅力感じない亀田選手 -

 受験の頃、新宿区西落合の親戚の家の二階に間借りしていた。近くにホンダの創業者、本田宗一郎さんや、国民的大歌手、三波春夫さんのお屋敷があった。
 
 隣室には津田塾と武蔵女の学生が住んでいた。一つ屋根の下…。今考えると、夢のような "住環境" だったが、当時そんな心のゆとりはなかった。

 最寄の西武池袋線東長崎駅までは徒歩で十数分。途中にガッツ石松が居るというマンションがあった。すでに世界チャンピオンになっていたかどうか覚えていないが、十人余りのチンピラを一瞬のうちに殴り飛ばしたという "武勇伝" は耳にしていた。

 いつもの悪いクセで前置きが長くなってしまったが、最近「ボクシング」と言えば、やはり "疑惑の判定" でWBAの世界王者となった亀田興毅だろう。試合そのものを否定はしない。しかし、多くの人々が指摘しているように、釈然としないのも事実である。

 「浪速乃闘犬」。大いに結構。好きにやってくれ、という感じだが、TBSの "経営戦略" のもと、親子そろって必要以上の "ふてぶてしさ" を装っているのではないか。大阪人特有のユーモアがないのもおもろーないわい。

 漫画家のやくみつる氏やスポーツ評論家の二宮清純氏の批判ももっともだと思うが、世界戦以前に、当のTBSの番組『サンデーモーニング』の中で、ジャーナリストの江川紹子さんが「試合相手(国)に対する言動に品位がない」と切り捨てていた。さすが紹子ちゃん!!

 もともとボクシングと貧困とは背中合わせで、拳一つでのし上がって行くところに人生の妙味があった。西田佐知子の『アカシアの雨がやむとき』とともに全共闘世代の感涙を呼んだ『明日のジョー』がその典型だろう。

  名作『敗れざる者たち』での中で、ノンフィクション作家、沢木耕太郎氏はチャンピオンになれなかったカシアス内藤(世界ミドル級一位)を取り上げている。 しかし、今回の判定に対する同氏のコメントは聞こえてこない。取材対象としての魅力に欠けるのか、それとも古巣(TBS調査部)への遠慮か。

 筆者もそのTBSの報道部でバイトをしていた。ある時、エレベーターの中で輪島功一氏と出会った。昼の日中にもかかわらずニヤニヤして酔っ払っているようだった。後にして思えば "パンチドランカー" 特有の症状だった。

  災害当時、砂守勝己というプロカメラマンがやってきた。視線は宙に浮きシャッターを押す手も心もとなかったが、雑誌に載った作品は他とは一線を画してい た。聞けば、この人もパンチドランカー。「サベロン砂守」というリングネームを持っていた元4回戦ボーイだった。

- つづく -