ウルトラマンより怪獣!?…「もっぱら君」がデビュー
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
「薪能」「不知火まつり」も終わり、いよいよ島原の秋も深まりゆく。音無川沿いの桜並木も早々と葉を落とし、せっせと冬支度にいそしんでいるようだ。
今回、島原城周辺に会場を移して行われた「まつりパレード」(18日午後)では、久しぶりに「着ぐるみ」をまとった。CATV&FMの統一キャラクター「もっぱら君」の初舞台であった。
着用は今から30年以上も前の、小浜温泉「湯祭り」以来のことで、暗闇で吹き出る汗に青春の〃ほろ苦さ〃を思い出していた。
「もっぱら君」の人気は上々だった。八尾病院前のスペースをお借りして特設スタジオを設置。テレビ&ラジオの共同企画でお送りしたが、2時間以上もの長きにわたって絶えず傍らに寄り添ってくれた、可愛らしい女の子がいた。
引率のお母さんによれば、ふだんから「もっぱら君」の大ファンということで、「出来ることならお家に連れて帰りたい」とまでもの有難いお言葉!!まったくもって「着ぐるみ冥利」に尽きるその囁(ささや)きを空気孔越しに耳にして、感涙にむせんだ次第。
「もっぱら君」は特注品である。頭部、腹部、脚部の三層構造からなり、頭上には冷却用のファンまで取り付けられている。しかしながら、実際に身に付けてみてはじめて、幾つかの〃欠点〃に気付いた。
まず、「手」というか「羽根」の位置が随分と下方にあるため、子どもたちと握手をしようにも実感がわかない。何だか、団扇で蝿を追い払っているような感じなのである。
脚の動きにも随分と制限がかかって、咄嗟(とっさ)の行動がなかなかとれない。結果、踊りづらいし、段差も苦手。その点、体の線にフィットした他の「着ぐるみ君」たちより、どうしても〃躍動感〃に欠けるきらいがあるのだ。
但し〃存在感〃の大きさでは誰にも負けない。鮮やかな山吹色の巨体といい、大きな目玉といい、幼い子どもたちの「心」を捉えて離さないうってつけのキャラクターだと言える。
我々が高校生の頃に流行った「着ぐるみ界」のスターは「仮面ライダー」だった。まだメジャーになる前の明石家さんまが敵役の「ショッカー」だったことは有名な話だ。
しかし何と言っても、その「大御所的な存在」と言えば、ウルトラマンであろう。〈ウルトラの父がいて、ウルトラの母がいて、そしてタロウがここにいる♪〉
今改めて口ずさみながら、その道徳的な歌詞の内容に頷(うなず)くことしきりだが、かつてデパートの屋上でウルトラマン役を務めた親しい友人が漏らした言葉が面白い - 。
「そりゃー怪獣の方がいいですよ。同じギャラなのに、ウルトラマンは最後まで戦わないといけないんですから」。なるほど〃正義の味方〃はいずこの世界でもつらいんだ。
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