2008/10/04

ハインリッヒの法則…重大事件の影に無数の些事

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

秋である。久方ぶりに礫石原の県道を〃安全運転〃で走っていたら、すでにコスモスの花が満開であった。ピンクに紅に白…。乾いた高原の空気が肌に心地よい。

スポーツ、読書、芸術、そして食欲…。秋に冠する言葉は枚挙にいとまがないほどが、夏場の疲れがどっと出てくるのも、今日この頃である。

我が身も熱こそないが、二、三日ほど前から幾分か風邪気味である。鼻がグスグスして、時おり大きなクシャミをしては、周囲の顰蹙(ひんしゅく)をかっている。

それにしても巷(ちまた)は大変である。母親が我が子を手にかけ、ムシャクシャしたことを理由に、分別盛りの40代半ばの男が突如火を放ち、15人もの犠牲者を出した。

政界では、就任後間もない〃東大出〃の大臣が考えられないような〃暴言〃を吐いて失職に追い込まれ、米国発の〃不景気風〃は確実に我が国に到達する勢いだ。

しかし、大多数の市民にとっては「そんなのはよその出来事である」。いわゆる〃傍観者〃の立場でしか事の成り行きを見ることが出来ないのが、我々凡百の性(さが)である。

ところが、災害や災難の類いは、いつ襲ってくるか誰にも予測はつかない。いざ〃当事者〃になった段階になって慌てふためくのがいつものパターンだ。

「ハインリッヒの法則」というのがあるそうだ。それによると、一つの重大や事件が起きる背景には、29件前後の軽微な事件があり、さらにその後には300件近いヒヤリとする瞬間があるのだ、と。

つまりは「確率」の問題であるのだが、表立った事件や事故の影には、無数の〃予備軍〃が身を潜めている、ということだ。

先日、これまた久方ぶりに自宅で寛いでいたら、目隠しシールを貼られた葉書が届いていた。はて、見覚えのない発信元だが…と訝りながらシールをめくってみると、「貴方はこれ以上交通違反をすると免停ですよ」という警告だった。

大きかったのは「3点」も引かれたスピード違反。福岡への出張帰り、佐賀県内の高速道路で覆面パトカーに捕まった。

「お急ぎですか?何か急用でも?」。慇懃(いんぎん)な物言いがかえって頭にきたが、法律に触れている以上、仕方がない。

「違反金は国庫に入るのだろうか。それとも佐賀県か。どうせ納めるのなら長崎県の方が…」などと他愛もないことを考えながら帰途についた。

しかし、冷静になって「ハインリッヒの法則」に基づいて考え直してみると、大事に至らずに済んで良かった、のである。もうこれからは遮二無二にスピードを出すのは止めよう、と反省した次第。

しかし、違反点数が消えるまで「あと1年間」というのは長いよなぁ…。