2008/09/23

乳首にワセリンを!?…リーダーは常に孤独な立場

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

「右手にコーラン、左手に剣」はイスラム教の激しい〃攻撃性〃を象徴する言葉として、これまでもよく耳にしてきたが、「乳首にワセリンを」とは初めて聞いた。より正確には、長距離を歩く際は「乳首にも、腋下にも、股間にも、足の裏にもワセリンを塗るべし」というのだ。

最初にこの言葉を聞いた時は「何と大袈裟な!?」と笑いこけてしまったが、実際に島原半島一周ウォーク(19日~20日)に挑戦してみて、その深遠なる意味合いが、身に沁みて理解できた次第だ。

実は最近、歩くことにかけては些かの〃自信〃を抱いていた。何せほぼ毎日、約1時間の早朝ウォークを実践しているのだから。本当に「ドンと来い!!」の心境で臨んだのであった。

結果は既報(21日付)の通り、目標の約3分の1の地点でもって心ならずも〃リタイア〃したわけだが、 それなりに得るものはあったように思う。

何より、お声を掛けていただいた先輩お二方の温かい〃お人柄〃に直に触れることができた。特筆すべきは、その類い稀なる「脚力」と「精神力」。黙々と歩を進め、決して筆者のように〃泣き言〃を言わない。獲物を睨むかのようにグッと前方を見据え、背筋をピーンと伸ばして歩く様は、堂に入っているのだ。

途中棄権の後ろめたさもあって、お二方が108キロの距離を「完歩」されたかどうかの確認は憚っていたが、風の噂で、一人は途中で脚がつって中止されたとの由。今となっては、残るもうお一方が最後の「期待の星!!」である。

でもよくよく考えてみたら、リーダーたる者はこうした周囲からの期待の「重圧」に四六時中晒されているわけで、改めてその「孤独感」を噛み締められた行軍ではなかったか。

今こうして省みて残念なのは、周到なる準備の上に、上級者の皆さんに同調できなかったこと。もし、最後のお一方が歩き遂(おお)せなかったとすれば、筆者を含む〃リタイア組〃の責任は極めて大きい、と言わざるを得ない。

それにしても、足裏のマメが痛い。右足の爪もはがれた。加えて股ズレ。さらにはリュックの重みで、右肩の皮が擦りむけヒリヒリしている。ワセリンの効能を馬鹿にしたツケが一挙に回ってきている、といった感じだ。

最後になったが、少し〃成果〃の話をしよう。それは「月明かりの効用」についてだ。橘湾の「夕日の美しさ」は今さら説明を要するまでもないが、これまで意外と語られていないのが「有明海の月景色」。

これまでも雲仙道を下ってくる際などに感じていたことだが、月の出から深更にかけての「幻想的風景」はなかなかに味わい深い。月光はある意味「癒し」の象徴でもある。観光に活かさない手はない、と歩きながら思った。以上。