大胆にして且つ細心…駆け引きなしの本音勝負!!
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
弊社生番組『ターニングポイント』に出演して下さった前国見町長の渡辺秀孝さん(78)について、前回は〃快男児〃と書いたが、今回は〃巧言令色、鮮(すくな)し仁〃と対極にある人物、との思いを改めて強めた。
甚だ失礼な言い方だが、放送での喋りは決して上手くはない。伝えねば、という〃情熱〃が先にほとばしり過ぎて、たびたび脱線してしまうのだ。さらに筆者の進行の拙さが、それに拍車をかけてしまった。申し訳ない…。
それにしても、である。実際に対面して見て、これほどに味わい深い人物は稀である。その魅力はインタビューなどといった肩肘張った形式では、絶対に引き出せないことが、良く解かった。
〃真骨頂〃は番組終了後、酒場で行った〃反省会〃で徐々にベールを脱ぎ始めた。とにかく面白い。と言うよりも〃痛快〃極まりない、のだ。
その〃人柄〃を知っている人なら等しく感じているだろうが、渡辺さんは決して〃駆け引き〃をしない人だ。その分〃損〃したことも度々あったはずだろうが、引きずっている様子は微塵もない。絶えず〃恬淡〃とした表情だ。
教師生活のスタートであった山田村立第一小学校(吾妻・大塚小)以来、一貫して探し求めた教育の真髄。時にユーモアを交えながら、数々のエピソードを〃北目弁〃で訥々と語る口調には衒いも何もない。今風に言うなら〃まんま〃の先生がそこにいる。
昭和30年春。絵に描いたような〃熱血教師〃が当時の湯江中学校(有明)に登場した。「君たちを鍛える腕はここにあり!!」。シャツの右袖を捲り上げての一瞬の〃パフォーマンス〃に、校長も生徒たちも、ただただア然。
赴任早々、持ち前の〃腕力〃と〃迫力〃で、脇道に逸れつつあった悪童どもを一網打尽。同時に〃説諭〃の努力を惜しまなかった。その中から、スポーツの名選手や秀才も数多く生まれた、という。
「教育で一番大切なのは人間愛(強さ)と慈悲愛(やさしさ)。逆に、子供たちから教わることも多かった」と、目を細める姿は〃好々爺〃そのもの。
一方で、最近の教育については「徳育が疎かになっているのでは…」と警鐘を鳴らす。勿論、それには〃持論〃が伴う。
「道徳の時間だけで涵養できるものではない。教育する側からすると、知育ばかりに力を入れれば、人間ではなく〃機械〃となる。体力至上主義も〃獣〃を作り出すだけ」となかなかに手厳しい。
別れ際、「そうそう番組の中で言い忘れていた」と正した上で、講道館創設者として名高い嘉納治五郎が遺した次の二つの言葉を引いた - 「自他共栄」と「精力善用」。
最後にこう補足した。「これはスポーツ界だけの教えではありません」と。
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