『最後の早慶戦』に涙…そう、長崎も不景気なのだ
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
「コンプレックス」とは日本語で普通「劣等感」と訳すのだろうが、どうして頭に「シネマ」が付くと「複合映画館」(略してシネコン)となるのだろうか?前々からの疑問である。
まあ、そんなことは後で調べれば済む話として、行ってきましたこの前も、その「シネコン」とやらに。これで2度目か…。
長崎駅前、アミュプラザ長崎ビル4F。一般的には「ユナイティッド・シネマ」と呼ばれている所だ。通常の仕事を終えて出かけたので、辿り着いたのは、午後10時からの「レイトショー」だった。
昼間は多くの買い物客らで賑わう同ビルも、さすがにこの時間帯となると、通りもまばら。それでも券売所奥の待合コーナーには、所々に人影が。こういう人々こそ「熱心な映画ファン」なのであろう。
ところが、筆者が入った5番上映館は、200人以上は収容できそうなスペースに、客はわずかに4人。これじゃまるで「マイ・シアター」ではないか!?
申し遅れたが、作品のタイトルは『ラストゲーム 最後の早慶戦』。戦時色が急速に強まりだしていた昭和18年秋に行われた、両校野球部の「対抗戦」を感動的に描いている佳作だ。
早稲田側の野球部長、飛田穂洲役を演じているのは柄本明。一方、慶應義塾の塾長・小泉信三役は、自身が慶應OBでもある石坂浩二が務めていた。
当時、両校が加盟する東京六大学野球のリーグ戦は軍部(大本営)の圧力で休止されていた。そうした状況下、飛田と小泉は間近に迫った「学徒出陣」を前に、何とかして思い出に残る両校の「対抗戦」を実現しようと奔走する。
愛校心の余り、なかなか断を下さない早稲田・田中総長(藤田まこと)。日ごとに厳しさを増す軍部の圧力。「万事休す」と思われたが、試合会場を神宮ではなく戸塚(早稲田)とする、飛田の「奇襲作戦」がついに田中を動かす。
試合は豊富な練習量を誇る早稲田の圧勝ペースとなるが、そこには勝敗を度外視した「福澤&大隈」以来の「友情」の熱き血潮が燃えたぎっていた。
慶應「若き血」、早稲田「都の西北」。伝統のエールの交歓は、それから半世紀以上が経った今でもなじみの光景だが、互いに数日後には戦地に赴かねばならない中で歌った心境は…。
個人的には、もっともっと沢山の皆さんに、「映画館」で鑑賞していただきたいのだが、1週間の興行期間では余りにも短すぎる(今月29日まで)。
しかし、商社が経営する、採算最優先の「シネコン」である以上、ある意味、仕方がないのかも…。駐車場に戻って時計の針を見たら、午前零時を少し回っていた。
帰りの道路はどこもガラ空きだった。県庁下から玉屋デパートのずっと先の方まで、タクシーの空車待ちが両側に並んでいた。そう、長崎も不景気なのだ、と実感した。
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