2008/08/19

精霊流しに挑んだが…秋にはトラッドで???

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

昔は「正月頭」「盆頭」というものがあって、その〃節目〃が近づくと、慌てて床屋に駆け込んだものだったが、最近はどうもその季節感がない。

そう言えば、「正月着物(ぎもん)」「盆着物(同)」という習わしもあったけ、などと〃来し方〃を振り返りつつ、とある量販店に飛び込んだ。

入口に置いてあったのは、単価290円のサングラスや伊達メガネ。「何とタバコより安いではないか!!」などと感激しつつ、黒縁メガネ1個を買った。

早速、車内のバックミラーで確認してみたが、これがなかなか良く似合っているではないか!?少々ご満悦な気分にひたって、再び店内に舞い戻った。

さーて、お次は「盆着物」に相当するTシャツ類の大人買いだ。サイズはXL。値札に目を凝らしつつ商品をあせくっていたら、あった!あった!「バカボン」の黄色Tシャツが。

「バカボンのパパ」のプリントでなかったことはちと残念だったが、それでも十分な〃掘出物〃であることには違いない。早速翌日、町内の「精霊流し」でのお披露目となった。

少し窮屈ではあったが、動きに支障なし。これで準備万端!!安心感が頭を支配して、自宅で直前に摂った夕食のことはすっかり忘れて、集合場所に用意されていたツマミ類を卑しくパクつく愚挙に。

結果、一回り大きくなったポンポンをさすりながら周囲を眺めると、若くて長身のお誂え向きの〃担ぎ手〃がずらーり。即座に勝ち目なしと得心し、はやる心を抑えつつ、掛け声係を〃志願〃した。

参加者総出で切子を飾り付け、いざ出陣!!宮の町の交差点辺りでローソクの火を点け、まずは〃一練り〃。いかん、いかん、また血が騒ぎ出してきた。

頃合いを見計らってこっそり船尾下に潜り込んでみる。が、いかんせん船底は目線のライン。何回か回っているうちに、完全にスピンアウトだ。

それでも〃食らいつく〃ところが我が世代の真骨頂と、本番の「猛島ステージ」に再挑戦してみたが、結果は同じ。それにしても「精霊流し」はつくづく素晴らしい〃祭り〃だと思う。何より町内の皆さんとの交流が楽しい。

洟垂れ小僧が立派な若武者になっていたり、或いは長じてオッサンになっていたり…と、発汗の爽快感とともに、残酷な〃時の移ろい〃を実感できるのもこの時だ。

担ぎながら、叫びながら、在りし日の〃故人〃に様々な思いを馳せる。殊に、改めて舳先に線香を手向ける〃船出〃のシーンは感涙ものだ。

盆明けは、久々のまとまった雨。これは取りも直さず〃干天の慈雨〃だ。心なしか日射しも穏やかになってきた。

さあ、秋になったら、ツイードのジャケットを着て、黒縁メガネで決めよう。それまでには必ず出腹を引っ込めて!!