2008/08/13

盆帰りは原点探し…情緒あふれる島原の盆

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

北島康介(男子水泳)という勝つべき人が勝って、日本にとっての「北京オリンピック」もいよいよこれから佳境を迎える。女子マラソンの野口みずき選手(肉離れ報道)は大丈夫だろうか…。

まあ、それはさておき、世間一般は今日13日から「お盆」である。帰省客の姿も日に日に増えてきているようだ。

拙稿を書きながら「FMしまばら」(88.4メガヘルツ)の放送を聴いていると、長崎市出身の福山雅治が歌っている。『蜜柑色の夏休み』という作品だ。何だが舌足らずの歌い方が中村雅俊に似ている。

その中村は、我々が学生の頃(昭和50年代前半)に人気が沸騰した。文学座の研修生で、慶応に学び、ESSで英語を磨いた長身のナイスガイ。

主演を射止めた『俺たちの旅』(日曜夜8時)は、同居人ともども、拾ったテレビで欠かさず視ていた。カースケ、オメダ、グズロク、ヨウコ…。岡田奈々という歌手兼タレントも妹役で出演していた。

筋立ては〃性善説〃に基づいた、いわゆる「熱血青春ドラマ」そのものだったが、最後に流れるレジュメのようなテロップに、そろって涙したものだ。

この作品の脚本家だった鎌田敏夫は、赴任先の「徳島県」で育ったことを知り、後に〃親近感〃を覚えた。蛇足だが、あの「金妻ブーム」を巻き起こしたのも、実はこの方だった。

随分と〃回り道〃をしたが、今日紹介したかったのは、中村雅俊が歌った『盆帰り』という作品だ。作詞・作曲ともに、『俺たちの旅』と同じ小椋佳。ヒットはしなかったが、結びの部分が大好きだった。

〈せせらぎに素足で水をはねた 夕暮れの丘で星を数えた 突然の雨を木陰に逃げた 故郷の君の姿 ぬぐいきれないと知りながら ラララ…〉

ところで、昨今の帰省者は古里に何を求めて来るのだろう…。勿論、主たる目的は墓参だろうが、自らの〃原点〃に身を置くことによる「自分探し」といった意味合いも含んでいるのではないか。

流されゆく日々の暮らしの中で、つい見失いがちな本来の目的、生きがい、思うに任せない世の動きへの憤り、失恋…。ないまぜになった様々な思いを、古里はやさしく、そして時に厳しく包み込む。

極めて個人的な感想だが、「島原の盆」が大好きである。「情緒」と言えば、一年で一番その思いを強く抱かせてくれるのが、この3日間だ。

「迎え火」から始まってフィナーレの「精霊流し」まで、島原の街は静かに、そして熱く息づく。在住者、出身者ともに藩政時代以来の「伝統」の力を身近に味わうことができる、絶好の機会とも言える。

ところが残念ながら、我が家の帰省組はすべて盆明け。せめては無事に辿り着くことができるように、ボン・ボワイヤージュ!!