勉強より世渡り力!!…是非おすすめ岡野雅行本
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
来春、或いは2、3年先の〃合格〃を願って、日夜受験勉強に励んでいる中・高校生諸君には、いささか〃逆説〃めいた話になろうが、世の中は〃成績〃だけで渡っていけるほど甘くはない。
これはある意味〃真実〃であるが、そんな及び腰的表現ではなく、「人生は勉強より『世渡り力』だ!」と、公言して憚らないご仁がいる。東京の下町で社員6人の町工場を営んでいる岡野雅行さんが、その人。
実は、前述の言葉はそっくりそのまま岡野さんの著作(青春出版社)となって、いま全国各地の本屋に平積みされている。ひょっとしたらもう、ベストセラーの一角に食い込んでいるかも知れない。
帯に推薦の弁を載せているのは、本県出身の芥川賞作家で、テレビ等でも活躍中の村上龍氏。「世界一の職人である岡野さんは、『人と情報の使い方』でも世界有数の達人だ!」と手放しの褒めようだ。
岡野さんが一躍有名になったきっかけは、それまで「技術的に不可能」とされていた携帯電話の「リチウムイオン電池ケース」や「痛くない注射針」(テルモと共同)などの開発に成功した実績から。
今やその「真似のできない技術力」には、国内はおろか、世界中の名だたる大企業、米航空宇宙局(NASA)までが注目。財務省をはじめ各方面からの講演依頼もひっきりなし。会社には総理、経団連会長も訪れ、平成16年には旭日雙光章を受けている。
昭和8年、墨田区向島生まれ。父が起した金型工業の会社を受け継いだ二代目社長だが、ボンボン息子どころか、その生き様は〃破天荒〃そのもの。
まず、学歴なんかに拘らない。幼稚園は三日で中退。巻末のプロフィールを見ると、終戦の年に「向島更生国民学校(小学校)卒業」とあるが、実は折角進んだ「国民高等学校」(中学校)も中退している。
その代わり「世の中のことは全部『玉の井』(遊郭街)で教わった。つまり、そこで人を見る眼力(世渡り力)を鍛え上げたのだ」などと述懐している。
この本は、全6章から成る二百ページ弱の新書版で、全て「話し言葉」で書かれているので、一気に読み通すことができる。ただ、中身は殊のほかに濃い。
軽く、勉強をサボるための「言い訳本」くらいに思っていたら大間違いだ。一言でいえば、同書は世の中を前向きに、主体性を持って生き抜いていく上での「知恵の宝庫」である。
最後に、序文に書かれているキー・センテンスの幾つかを列挙しておく。ここで何かしらの「引っかかり」を感じた貴方は「世渡り名人」になれる可能性が極めて高いかも!?
★重要な情報が飛び交う集まりに『あいつを呼ぼう』と言われるには★「人に『あいつは面白い』と思われるには★上の立場の人を動かす方法★何倍にもなって返ってくるお金の使い方 -などなど。
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