2008/08/21

伊達メガネの正体は…語源は「浄瑠璃」にあった!!

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

いつだったか、歌手のアンジェラ・アキが、自身の音楽活動を追いかけていたテレビの深夜番組の中で、「このメガネをかけると、アタシ無敵になるの!!」と豪語していた。

確かに、彼女のステージ衣装はいつも、Gパン&Tシャツと、真ん中分けの長髪、それに黒縁メガネの組み合わせである。

別段、真似するつもりはなかったが、その「無敵!!」という力強い言葉の響きと、値段の安さ(290円)に引かれて、ついつい黒縁の「伊達メガネ」を買ってしまった。

ところで、どうして「伊達メガネ」と言うのだろうかと思って、インターネットで調べていたら、見つかりました、アンジェラの名前が!!

ウィキペディア(フリー百科事典)によると、アンジェラのほか、生島ヒロシ、天野ひろゆき(キャイ~ン)、松岡昌宏(TOKIO)らが「伊達メガネ愛好家」だという。

古くは大橋巨泉、仲本工事(ドリフターズ)らもその一派で、政界では、先年自殺した松岡利勝・元農相(熊本選出)、橋下徹・大阪府知事(弁護士)らの名前も見える。

まあ、それはそれとして「伊達男」に「伊達や酔狂」…。普段使う日本語の中にも頻繁に顔を出す「伊達」とは一体何ぞや?次なる相談相手は広辞苑(第六版)だ。

真っ先に出てきた説明はこうだ→「一説に、『立つ』から。人目につくように形を表す意」とあり、1.ことさら侠気(きょうき)を示そうとすること 2.好みがいきであること 3.見えを張ること - などとの補足解説。

現代の「用例」として紹介されているのは文字通りの「伊達の薄着」だが、少し精読してみれば、どうやら語源は「鑓(やり)の権三(ごんざ)」等の浄瑠璃の世界の言葉のようだ。

ところで、アンジェラの父親は「阿波の人形浄瑠璃」で知られる徳島県の出身(母はアメリカ人)で、英会話教室「イーオン」(昔は「アンビック」と言った)の経営者、と知って驚いた。

よもやアンジェラが「傾城(けいせい)阿波の鳴門」のような浄瑠璃の世界に身を置いたことはあるまいので、「伊達メガネ」は偶然の一致だろうが、面白いと言えば面白い。

しかし、そんな事より、最近は急速に目がとろくなってしまった。この原稿を打っているパソコンの文字でさえ、細めないと良く読めないくらいだ。

かと言って、大枚をはたいて購入した「老眼鏡」は〃遠近両用〃ではないので使いづらいし、本当に困ったものだ。

エーイ、いっそのこと新たに購入しようかとも思ったが、ここはガマン、ガマン…。表向きは「290円」でやり過ごし、内実は「老眼鏡」での対応だ。

しかし、ここまで来ると、「伊達」を通り越して、いよいよ「酔狂」の世界だろうなぁー。