カモメそれともトンビ…大いに気になる政策の行方
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
朦朧として目が覚めたらやたらと肌寒い。逆に体が冷えたから目が覚めたものと思うが、いよいよ本格的な秋の訪れだ。ゆるゆるの作務衣のズボンと長袖シャツ。今朝ほどは、屋外の冷気がいつにもまして気持ちが良かった。
長浜から猛島を抜けて北門に向かう途中、カモメの一群に遭遇した。数にして10数羽。真向かいから吹いてくる〃北風〃を避けるかのように、海面すれすれの低空飛行だ。
ふと視線を上げたら、今度はトンビの遊覧飛行。時おり吹き付ける風の〃息つき〃を楽しむかのように、悠然と羽を広げて右左。まるで空のサーファーだ。
イソップ童話に『北風と太陽』というのがあったが、ほどなくして東の空からお日様が顔をのぞかせてきた。こう言うのを〃あかね空〃と呼ぶのだろう、見事なまでの色彩の鮮やかさだった。
ところで昨日、島原商工会議所会員大会で経済ジャーナリスト、須田慎一郎さんの講演を聴いた。テレビや週刊誌で見かける強面のイメージと違って、意外なまでに普通の、小太りのオジさんだった。
枕の部分で、小泉元総理のゴーストライターをしていたことをカミングアウトしていたが、たまたまこの日の新聞報道で明らかになった「政界引退表明」とも相まって、口調にも俄然熱がこもっていた。
同氏によれば、総選挙の日程は11月2日か9日。与党が前者で仕掛け、野党が補正予算の審議入りを取引材料に、後者を主張している〃綱引き〃の構図だという。
何より驚いたのは、財政面での日本の国力の衰退ぶり。先進7カ国の中でも、イタリアの後塵(こうじん)を拝して、断トツの最下位だ、という。
また、都市部と地方の経済格差の問題についても触れていたが、肝心の具体的対策についての示唆(しさ)が伺えなかったことは些か残念であった。
総じて、これから我が国経済が迎えるのは〃冬の時代〃。次期総選挙を終えたとしても、政局の流動化は当面続くであろうし、一旦はびこった〃格差〃の是正も一朝一夕で片付くものではない、と。
何せ我が国は食料の自給率が4割にも満たない〃弱小国家〃である。小泉政権の是非論議は須田さんらの専門家に任せるとして、本当に食べる物が足りなくなってしまったら…。
ある資料によれば、江戸時代の日本の人口は約3千万人。それが20世紀の初めに4千万人を超え、今や1億2千万人である。また、専門家に言わせると、規模的に自給のボーダーラインは4千万人。すなわち、それ以上になると、外国からの輸入に頼らざるを得ないのだそうだ。
これからは、カモメのように低空飛行で凌いでいくか、はたまた流れに身を任せたトンビになるか。国、地方を問わず、政策(局)の行方が気にかかる。
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