2008/12/05

48時間以内に結論を!!…M君はどうしているのだろう

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

今年はやけに「年賀欠礼」の葉書が多い。師走に入ってからは、ほぼ毎日のように2通、3通と送られてくる。

50を超えた自身の齢(よわい)を考えてみれば、それも至極当たり前のことで別段驚くこともなかろうが、無機質な文面にしみじみと「世の無常」を感じる今日この頃である。

事務所の窓越しに眺める音無川公園のイチョウの木は、ここ数日ですっかり葉を落としてしまった。凍てつくような寒さこそないが、季節はもう確実に「冬」なのだ。

さて「冬」と言えば「忘年会」だが、読者の皆様方のご予定は?「まだまだとても。特にこの経済情勢下では…」というのが、大方の人々の一般的な受け止め方だろう。

米国のサブプライムローンに端を発した「不景気風」はまたたく間に世界を駆け巡り、日本も決して例外ではないようだ。あの「トヨタ」にしても売り上げ3割強減だ。

それに呼応するかのように、巷では「リストラ旋風」が容赦なく吹き荒れている。その被害対象は派遣労働の世界に収まりきれず、正社員、はては内定・新卒者まで及んでいる。

いちいち数字を挙げても詮の無いことなので止めておくが、今朝テレビのニュースで見た日本IBM社の「支援金報道」には驚いた。「48時間以内に退職の意志表示をすれば、支給額の積み増しをする」というのだ。

これまでも「早期退職者優遇制度」というのがあって、あれこれ熟慮を重ねた挙句に辞表を提出した、という話は聞いたことがあったが、わずか2日間で結論を出せと言われても…。

これなどは典型的な「瀬戸際作戦」の一つ。「切羽詰る」とは正しくもってこのことだ、と改めて感じ入った次第。余談だが、「切羽」とは刀の鍔(つば)の裏表を指す。

そうそう、IBMで思い出すのは古里の後輩、M君のこと。M兄弟はいずれも秀才の誉れ高く、人柄も大層立派だった。

M君は高校の担任の先生の勧めで上京後の「受験の砦」を、我々のオンボロ下宿と定めた。もともと頭の出来が良いので、当時私学の最難関と言われていた上智大外国語学部(英語科)に難なく合格。

それでも偉ぶるところなど一つもなく、掃除、選択、買い物…などと先輩である我々の言い付けをしっかり守って、甲斐甲斐しく尽くしてくれた。

ところが、上智という校風に馴染み始めた頃からパッタリと姿を現さなくなってしまった。後にM君がIBMに入ったというニュースは風の噂に聞いたが、一方でカトリックの神父になったとも…。

果たしてM君はどの道を選んだのだろうか…。今朝のニュースを聞きながら、30年前の人なつこい笑顔が浮かんできた。