2008/11/19

椎名誠さんが講演…日本の常識は世界の非常識

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

『人は見た目が9割』という本がベストセラーになったが、講演でも同じようなことが言える、と伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎さんが著作の中で述べている。

14日夜に深江町の「ふるさと伝承館」で開かれた作家・椎名誠さんの講演会に出かけて、改めてその思いを強くした。とにかく、壇上に出てくる時点から「オーラ」のようなものが溢れていて、話の組立はともかくとしても、聴衆を引き付けて放さないのだ。

長身、痩躯、モジャモジャの髪の毛…。さりげないGパンスタイルだったが、実にサマになっていてカッコ良かった。感想を言うと、随所に「自由人・シーナ君」の思想が見えて、最後まで面白く聞かせていただいた。

演題は「大事な話 そうでもない話」。オムニバス的な内容の中から、幾つか印象に残った点を振り返ってみたい - 。

椎名さんには娘さんと息子さんが各一人。二人とも米国を中心に活動中だという。椎名さんの子育て原則は「女の子は賢く、男の子は逞しく」。ちなみに、息子をモデルとした私小説『岳物語』は300万部を売り上げたミリオンセラー。

日本人は「水」に対して余りにも無頓着過ぎる。ウォシュレットの多機能ぶりは凄いと言えば凄いが、外国人の感覚からすると、生理的に受け付けない。雑菌が入っているかも知れない生ぬるい温水でお尻を洗うこと自体に不安が伴う。

一番恐いのは化学的な汚染水。見た目は綺麗でも、どんな有害物を含んでいるか分からない。象徴的な事例が「イタイイタイ病」を引き起こした富山・神通寺川のカドミウム汚染。

日本の河川の特徴は全て源流が国内にある「国有河川」。その数三万五千。一方、外国の大河は源流から河口まで何か国も経由する場合が多い。いわゆる「国際河川」。

例えばメコン川。源流はチベットで、雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムへとつながっている。ケミカル汚染は即「国際問題」となる。つまり「異文化」とは「危機意識」の違い。

葬儀の方法も色々。火葬、水葬、土葬、鳥葬、風葬など。チベット仏教では、人生でどのような「功徳」を遺したかが問われる。日本の通夜に当たる「ポア」という儀式は「魂の解放」という意味。オウム真理教はそれを歪めて伝えた。大変な間違い。

このまま進んでいくと、日本はやばいなあ、という感じ。密度の濃い優れた国ではあるが、やり方がすべてにおいて陰湿である。校長が子供を買春するような事態は、とても欧米では考えられない。

教育の話で言うと、米英は「分からせる教育」をしている。実例を挙げて「生長限界」や「森林限界」などの話をすれば、子供たちは必ず興味を持って聞いてくれる。日本の常識は世界の非常識であることを忘れずに!!