2008/11/15

やってみなはれ精神で…サントリービール業界3位に

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

サントリーのビール事業が創業46年目にして初めて「営業黒字」を生みそうだ、という新聞記事が出ていた(14日付・長崎)。しかも、サッポロを抜いて「業界3位」に躍進する見通しだ、と。

「ザ・プレミアム・モルツ」というヒット商品が売上増に貢献した結果らしいが、本家筋のウイスキーや他部門の長年にわたる〃支え〃があったればこそ、との解説には大いには頷(うなず)けた次第。

同社の創業者はご存知、鳥井信治郎さんである。ビール事業進出かどうかで悩む2代目社長の佐治敬三さんに対して、「やってみなはれ」とゴーサインを出したという〃逸話〃は余りにも有名だ。

それにしても「46年」である - 。言葉でいうのは簡単だが、ビール部門に限らず、同社全体に相当なプレッシャーが圧(の)し掛かっていたのも事実のはずだ。その期間を〃熟成〃と表現するのはいささか〃遊び〃が過ぎるか。

ただ、サントリーですぐに思い浮かぶのは〃遊び心〃に満ち溢れたコマーシャルの数々である。古くは「赤玉ポートワイン」。そしてウイスキーでは、「トリス」から始まって「角瓶」「オールド」…とそれぞれの時代を髣髴(ほうふつ)とさせる名作ぞろいだ。

ブランデーだって負けてはいない。〃通〃から言わせると邪道な飲み方だろうが、「ブランデー、水で割ったらアメリカン」というコピーは今でも頭から離れない。ビールのCMで印象深いのは、ご機嫌なテンポで大流行した「あんたが1番♪わたしが2番♪」という例のフレーズだ。

そうした〃文化の下地〃を創ったのは、他でもない、山口瞳や開高健(たけし)といった同社広報部の〃先達〃だろう。まさに「酒は文化」である。

残念ながらこれまで、その文化の殿堂である「サントリー美術館」にも「サントリーホール」にも足を踏み入れたことがない。今度こそ、時間を作って必ず、と思っている。

ところで、ほぼ毎日のように飲んでいるビールだが、これは筆者のようなメタボ人間にとっては大の〃天敵〃なのだそうだ。ちなみに、生ビール中ジョッキ1杯は約200キロカロリー。

これを運動で消費しようとすると、1時間はウォーキングをしなければならない、というデータが出ている。酒飲みにとって何とも耳の痛い話である。

やっとのことで歩き終え、帰宅後にビールで喉を潤すと、まさにその努力の跡が「泡」と消えてしまうのだから…。

ただ、メタボそのものが大きな社会問題となっている〃現状〃を考えれば、解決のために、その条件を〃飲む〃のは致し方ないことなのかも知れない。

まあ、目標到達までに46年もはかからないだろうから、ここは一つ「やってみなはれ」の精神で!!