面食らうテンポの速さ…経済はどうなるのだろう?
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
「1週間のお待たせでした」とは、昭和を代表する歌謡番組『ロッテ歌のアルバム』の司会を担当していた玉置宏さんの名枕詞だが、出張や野暮用が重なっているうちに、しばらく休筆が続いてしまった。
その『歌のアルバム』をブラウン管にかじり付くように観て(聴いて)いたのは小学生の頃。当時「御三家」と呼ばれていた橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦らの全盛期だ。
中でも舟木と言えば、何はさて置いても『高校三年生』である。《♪赤い夕陽が校舎をそめて ニレの木陰にはずむ声♪》世代からすると、ワンクール上の層に属するが、坊主頭の洟垂れ小僧が背伸びして歌っていたことを思い出す。
その曲を作った遠藤実さんが亡くなって、はや1週間が過ぎた。生涯に遺した作品数(5千曲)は、一足早く昨夏に旅立った阿久悠さんの作詞のそれに匹敵する。まさに「巨星再び墜つ」の感じである。
ちょうど1年ほど前に、間もなく作曲家生活40周年を迎えるという中村泰士さんの講演を聴いた。この方もレコード大賞(ちあきなおみ『喝采』)を受賞するなど、一時代を画した名作曲家の一人だが、その時こう嘆いておられた - 。
「最近の歌は余りにもテンポが速すぎる。8ビートはおろか16、32ビートと益々エスカレートするばかりで落ち着きがなく、心に響いてこない」と。
言われてみたら、確かにそうだ。MDなどで子供達が好んで聴いている歌は、字余りだらけの「早口言葉」のようである。歌詞の中身を確かめれば、一定の「メッセージ性」のようなものもあるのだろうけど、「プロテストソング」と呼ぶには「社会性」に欠けているような気がする。
「近頃の若者はまったく…」という大人の嘆きは古代の洞窟遺跡にも彫られているそうだが、筆者も段々とそうした思いに苛(さいな)まれつつある。
テンポが速くなっているのは、何も歌の世界ばかりでない。経済界だってそうだ。今年3月期に史上最高益を出したばかりの「トヨタ」や「ソニー」といった日本を代表する企業が矢継ぎ早に「人員整理」の方針を打ち出した。
3千人が働く諫早のソニー系工場はどうなるのだろうか?キヤノンの波佐見町進出計画は?AIGコールセンターは大丈夫か?乏しい経済知識で思案を膨らませていたら、昨夜、佐世保の名門企業「辻産業」に会社更生法適用のニュースが飛び込んできた。
同社会長の辻昌宏さんとは一度だけご一緒したことがあるが、物静かな紳士であった。中国進出を果たし、順風満帆とばかりに思っていたのに、一挙に逆風に呑み込まれた格好である。いずれにしても、このテンポの速さは異常である。若者に期待するしかないのだろうか!?
【お知らせ】15日のターニングポイントは休みます。
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