「県庁の星」は卒業…輝く「島原の太陽」となれ!!
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
「平成の大噴火」から丸18年と1か月が経った今日、島原市のトップが代わった。果たして横田修一郎新市長はこの「古里」をどうリードしていかれるのだろうか。
何年か前、『県庁の星』(小学館)という本が売れ、人気タレントの織田裕二や柴崎コウらが出演して映画(東宝)にもなった。確か、大妻出の若い作者が書いた作品だった。
ストーリーは至って単純。県庁の産業振興部門で働く男性主人公(織田)が急きょ民間のスーパーに派遣されることになり、「官」と「民」との考え方に戸惑いつつも、自然と周囲に調和していくというハッピーエンドな筋立てではなかったか。
まあ、これなどは「架空の物語」であろうから、そっくりそのまま「現実社会」に当て込もうとするのもどうかと思うが、新市長の「経歴」を見る限り、この方が紛れもない『長崎県庁の星』であったことに誰も異論はあるまい。
中央大学法学部を出て昭和44年に県庁入り。総務部地方課を皮切りに、自治省出向などを挟んで、県北振興局管理部長、県立病院課長、総務部理事(新大学担当)、商工労働部長、地域振興部長などを経て、最終職は県教育長(今年4月まで)。
県庁内の出世の仕組みは良く知らないが、素人の傍目で見ても「日の当たる道」を順調に歩んでこられたことだけは確かだ。
ただし、映画の主人公と決定的に違うところは、上からの辞令一本ではなく「選挙」という洗礼を受けてきたという「厳しい現実」と、新たな職場が民間のスーパーではなく「市役所」であるという点。
実はこれまでに2度、筆者が進行役を務める生放送の「対談番組」にご登場いただいている。初回で印象に残っているのは、火砕流の犠牲となった安中地区消防団員の話に及んだ時、思わずメガネの奥から流れ落ちた大粒の涙のこと。
筆者も予想外の出来事だっただけに一瞬狼狽してしまったが、残念ながらゲストの表情を追う第2カメラは「引きの映像」しか映し出していなかった。後で、そのカメラマンをこっぴどく叱り付けたのは言うまでもない。
2度目のご出演の際に、「あれは出馬に臨む前の意志表示ではなかったか?」と水を向けたら、「いや、そんなことはない。生前の仲間のことを思ったまで…」との回答だった。
京都・清水寺で毎年行われている「漢字一文字総括」でいけば、平成20年は「変」だった。海の向こうのアメリカでは「チェンジ」を標榜したオバマ氏が次期大統領に選ばれた。
吉岡市政から横田市政へ、二代続けての「県庁出身市長」。出立に当たってお願いしたいことは、もはや貴方様は「県庁の星」ではないこと。何卒、5万島原市民をあまねく照らす「島原の太陽」であっていただきたい。
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