2009/11/20

ほんに「屁」のような話…とうとうクスリの世界まで!?

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

「ほんにそなたは屁のような。声はすれども姿はみえず」-。正確にはどう言うのか知らないが、そんな都都逸(どどいつ)があったのではなかったか。

一向に直りそうもない我が身の「メタボリック症候群」を何とかせねばと、ついに「クスリ」に頼る道を選んだ。つい数日前のことだ。

まだ飲み始めたばかりなので「効能」の程は定かでないが、やたらと「屁」が出る。所かまわず、と言ってよい。さすがに、人前では控えているが…。

実はこれまでも幾度かその手の「漢方薬」を買い求めていたが、いつも自宅台所の抽斗(ひきだし)の中に押し込んだままで、「服用」までには至っていなかった。

では、なぜ一体「ルビコン」を渡ってしまったのか?他でもない「新聞広告」のせいだ。通常の広告は側面から見た「出っ腹」の様子を取り上げているのだが、某フイルムメーカーのそれは女性の「後姿」を取り上げている。

世に「バックシャン」(後見美人)という表現があるが、掲載されている4葉の背中姿は、それとは異質の「ふくよかさ」で満ち満ちている。

いや、待てよ!これと似たような「シルエット」をどこかで見たことがあるぞと、想を巡らしているうちに思い出した。他でもない自分自身の醜態であった。

島原観光ホテル小涌園の売店奥の男性トイレは、2か所の手洗い場が「合わせ鏡」方式で、面(おもて)を上げると、必然的に自分の背中が見える仕組みとなっている。

丸い!何度見ても丸い!とても「7人の外敵」と戦っているような「緊迫感」などまるでない。財布の実情とはかけ離れた、ゆるみ切った「安息感」が漂っているのだ。

話は脱線して申し訳ないが、小涌園の小便器には、いちいちうるさい「注意書き」が添えられている。全文は忘れたが、「お前さんのはそう長くないのだから、一歩前に出ろ!」といった類いのものだ。

少々腹立たしくもあるのだが、清掃をして下さっている方々の心情を慮れば、まさに正鵠を射た「ご指摘」でもあるので、素直にその教えに従って用を足している。

尾篭(びろう)な話続きで恐縮だが、「屁」に関して思い出すのは、太宰治の『富嶽百景』という作品。その中に、文豪・井伏鱒二の動きを捉えたシーンが出てくる - 。

〈何も見えない。井伏氏は、深い霧の底、岩に腰を下ろし、ゆつくり煙草を吸ひながら、放屁なされた。いかにも、つまらなささうであつた〉

最近のテレビコマーシャルを見ていると、長崎の老舗カステラ屋の製品には「文学の香りが漂っている」そうだが、果たして、井伏先生の「屁の味」はどうだったのだろう…。