2009/12/08

そうは言ってもねー…「仕事の99%は段取りで決まる」

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

今年こそは!年賀状を早めに仕上げて投函しようと思うのだが、雑事に追われて、なかなかその気分になれないでいる。

はて、どうしたものか?と思案にくれて本棚を見渡していたら、あった!あった!その関係の教本らしきモノが。筆者名を見ると、「神樹兵輔」(かみき・へいすけ)とある。

これまた「はて?」であるが、巻末の著者略歴欄を見て思い出した。何のことはない、学生時代を一緒に過ごしたT先輩が書いたハウツー本ではないか。

題名はズバリ!「仕事の99%は『段取り』で決まる」というもの。比較的大手の「日本文芸社」から出ているので、どうして大したものである。

この先輩は一つ年上の東京生まれ。学校こそ違ったが、下宿が近くだったので、随分と親しくお付き合いさせて頂いていた。

東京出身なのに「下宿住まい」というのも変な話だが、幼少のみぎりよりかなりの「外れ者」だったようで、その後の人生も完全なる「アウトロー」。とにかく型にはまらない、破天荒なお方なのである。

例えば - 。昨今は史上稀に見る「超不景気」とやらで、学生の就職戦線にも大いに異常があるそうだが、この先輩のご自慢は「カヤマ・ユウゾウ」の成績で難関を突破したこと。

最初に聞いた時は何のことやら?と訝っていたが、「『可』が山のようにあるのに対して、『優』の数は僅かに2、3個程度」の劣悪な成績のことを、そう呼ぶのだそうだ。

その心を知って「巧いこと言うよなぁー」と感心していたら、翌日から矢のような「就職内定祝賀会」への誘い。「モシモシF君(筆者の旧姓)、今夜ヒマ?だったら飲もうよ!駅前で待ってるから」。

当時は「居酒屋チェーン」などはまだ少なく、我々の盛り場は「屋台」と相場が決まっていて、開店準備から手伝わされた。

説明が相前後してしまったが、先輩が内定を取り付けていたのは「松下電器」(パナソニック)だった。まあ、一緒に飲むのは良かったのだが、閉口したのは「ナショナル・ソング」を際限なく歌わされること。

〈明るいナショナル、明るいナショナル、ラジオ、テレビ、何でもナショナール♪〉。別段、松下電器に何の恨みもないが、寒空の下で飽きるほど歌わされた、この「フレーズ」だけは終生忘れることができない。

ところが、ところが、である!この先輩、何を油断めされたか、残り「2単位」をどうしても取得出来ずに、その年の卒業も就職もすべてが「パァー」に。

となると、即座に心機一転!「ねぇーF君、君ももう大企業に就職するなんてケチ臭い考えは捨てなさいよ!」と来た。そんな人間が書いた「段取り」本。はて、素直に信じていいものかどうか…?