2010/08/30

見直される田中角栄…民主党の党首選挙に思う

〈秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ おどろかねぬる〉。和歌の世界など柄でもない我が身だが、昨夜の涼しげな〃虫の音〃にはほとほと感動してしまった。

もう「立秋」は遠に過ぎ、暦の上では立派な「秋」。それでも、昼間の体感温度は「真夏」のそれとまったく変わらない。

窓越しに戸外の風景を見ながら、この頃ふと思うことがある。油彩の絵の具がようやくカンバスの布地の中に染み込んできたような感じかなっ、と。

さて、「法要」(精霊流し)に明け暮れた今年の夏もいよいよ終わり。どこからともなく、運動会の練習の掛け声も風に乗って届いてきた。

こうした季節の移ろいの中で、永田町では夏顔負けの熱い!熱い!権力闘争が繰り広げられている。他でもない、今や政権政党に躍り出た「民主党」の党首選挙だ。

菅直人VS小沢一郎。今のところ〃国民目線〃でいけば、首相の方が圧倒的優位に立たれているようだが、フタを開けてみないことには分からないのが〃政治の世界〃。

ひょっとして、我々が打ち上げ花火を見物している間に、両者の思惑が一致してそのまま〃続投〃ということにも…。いずれにしても、今日&明日のニュースは要チェックだ。

ところで、今回の党首選とは何の因果関係もないが、最近は「田中角栄元首相」の存在が改めて見直されているそうだ。『新潮45』という月刊誌では、わざわざ特集(7月号)を組んでいるほどだ。

「特別付録」(永久保存版)と称された演説集(CD)を聞いてみると、なるほど確かに面白い!

小沢さんは「角さんの愛弟子」だったそうだが、味わい深さで言うと、美空ひばりと、昨今のジャリタレ歌手ほどの開きが厳然としてある。

しかも、驚くべきはその〃先読み〃の確かさ。録音の時期は今から25年以上も前のことなのに、すでにその時点で「光ファイバ」を語り、今日の新聞&テレビ業界が直面している危機的状況を、ものの見事に〃予見〃しているのだ。

また自身の政治活動歴を振り返る語るくだりでは、笑いの中に〃本音〃を散りばめながら「色々反省すべき点もある…」(教科書の無償配付政策など)などと、どこまでも人間臭い。

今さら言うまでもないが、政権政党の党首選挙は次期の「日本国総理」を決める大事な選挙。立候補が予定されているお二方には、事の重大性を存分にご認識の上で正々堂々と渡り合っていただきたい。

しかしながら、「角栄節」を聞いた後では、二人とも〃力量不足〃の感は否めない。こんな考え方は時代錯誤かも知れない。ただ、国民等しく「強烈なリーダーシップ」を切望していることだけは確かだ。

とにかく何とかしてよ、今のニッポン!