2013/05/30

矢野さん大いに語る②…出迎え三歩に、見送り七歩

町役場(宇目町)の職員時代、いつものように呆けた感じでデスクワークをしていたら、いつの間に町長が背後に立って、私の肩に手を置きながら、こう言い放たれたんです。

「のべつまくなしによう喋るし、書類の字は汚いし、まったく困った奴じゃの~。けんど、一つだけ良かところがある」と。

恐らく、高校・大学と好きで続けてきた落語のワザ(?)が見込まれたのでしょう。ほどなくして県内初の「観光特使」を拝命することになりました。

この仕事(口演)をしていて何が嬉しいかと言えば、同じ依頼主から再び、三度と呼ばれることです。

役所と一般企業との考え方の違いは歴然としています。後者は「売れるもの」「良いもの」を絶えず追求していかないと、後に続いていけません。残念ながら、前者にはそうした危機感がありません。

宮司だった父の話を少しだけします。私自身、神職だけでは飯が食えないので公務員(二足のわらじ)になったわけですが、その父(46歳で没)が生前、よくこう言っていました。「よかか、稼いだ分以上使えば、それは借金ぞ!」。

それから、こんなことも―。「嫁は叩いたらいけんぞ。腕っ節では男の方が強かとやけん」。まぁ~世の中には往々にして、逆の場合もありますけど…。

話を本題に戻します。よく引き合いにして使われる言葉に「出迎え三歩に、見送り七歩」というのがございますが、「イメージ」が最重要視される観光業においては、特に忘れてはなりません。もっと言えば、公務員には、そうした振る舞いは出来ません。

何と言っても、基本は笑顔です。人間は笑えば笑うほど、元気になります。私のしがない素人落語でも、大枚2000円を払って、沢山の方が聴きに来てくれるんですから。

以前、大分県指導主事研修会に講師で呼ばれた時のテーマは「一芸は身を助く」としました。もちろん私の場合の「一芸」とは落語のことです。

人生はすべからく「自助努力」が基本です。少し背伸びした言い方をするなら、補助金制度が日本の農業をダメにしているのではないでしょうか…?

公務員とのかけもちで宮司をしている時に、よく周囲の氏子さんたちからこう言って笑われました。「今度の宮司さん(息子)はスゴイ。お祓いも、お笑いも両方できる!」と。

写真】法被姿で全身を使って熱弁をふるう矢野大和さん。 -つづく-