2014/06/22

離婚・分家・隠居まで…面白かった昔の「島原新聞」

数日前、昭和16年7月2日付けの島原新聞(野口雨情編)のことを書いたが、これが意外にも反応がよく、「島原小唄&多比良小唄の歌詞を是非教えてほしい」などといった要望が多数寄せられた。お応えしよう。

【島原小唄】①越えて来ました雲仙岳を 今宵島原波枕②昔しのばす森岳城址 松に松風たへやせぬ③土地の自慢は白土湖の清水 末に軒端の走り水④しのび水やら音無川に 岸の桜も散りかかる⑤あがた御社猛島さまは 街のしづめの護り神⑥月の出潮か秩父が浦を 啼いて渡るは磯千鳥⑦うしろ眉山屏風に立てて 前にや有明青●⑧肥前島原昔の城下 今も鳴ります時の鐘⑨山は焼山焼けよとままよ わたしや不知火胸焦がす

【多比良小唄】①多比良●りか 温泉さまの 森に吹く風永久に②遠く雲仙 多比良の城の 名残とめたか一の丸③波にもまれた 有明海の 味が自慢の多比良蟹④一目有明  琴平さまに 春は桜の花吹雪⑤いとし不知火多比良の濱に 打つは仇浪音ばかり⑥潮の満ちひき 土黒川に 船の出入もままならぬ⑦五萬長者の 屋敷の址の 布目瓦に偲ぶ月⑧椎の林に 風立ち騒ぎや 諏訪の貯水池●青し(※●は判読不能)

ただ、それとは別に大いにビックリしたのは、今で言う「慶弔欄」の扱い。「出生」「死亡」「婚姻」のほか、様々な「プライバシー」がいとも赤裸々に綴られているのだ。

その筆頭格は「離婚」。ついで、今ではとても考えられない「養子縁組」「養子離縁」と続く。おっと、まだまだあった!「分家」に「隠居」「家督相続」まで。

広告欄だって負けてはいない!洋品店のそれは何ともシュールなイラスト入り。おかっぱ頭の3人の女の子が登場して「その店で買ったこと」を自慢しているが、なんとそのうちの一人はジイ様が履いているような下駄を履いているのだ。

笑いあり、怒りあり、知性あり―。昔の島原新聞は今より遥かに大らかで面白かった。温故知新。ひとり〝時代〟のせいばかりにしてはなるまい、と大いに反省した次第。