2014/06/12

御説には賛同しても…「サービス精神」発揮し過ぎ

申し遅れたが、先般の加藤清隆さん(時事通信社特別解説委員)の講演要旨の連載から、本欄の構成を一部手直しさせていただいている。平たく言えば、文字のポイントを少しだけ大きくしているわけだ。

さて、加藤さんと言えば、ご本人自ら明らかにされているようにバリバリの「安倍首相シンパ」。講演でも「どうして『集団的自衛権』を認めようとしないのか!」などと、実に威勢が良かった。

筆者自身、土地柄(?)のせいもあって、保守的人間を自認している。したがって、仰っている事柄に関しては結構頷ける部分も多かった。

ただ、どうしてもなじめない「表現」があった。それは、ご自身と考え方の異なるマスメディアに対して発せられた「左巻きクルクルパー」云々と、いとも乱暴に切り捨てられたことだ。

恐らく、会場の空気を読んで、ある意味「サービス精神」を発揮されたのだと想うが、その歯切れの良さとは裏腹に、聴いていて余り良い感じはしなかった。

長崎市出身の加藤さんの経歴は「官邸記者」「ワシントン支局長」…などと輝かしいものだが、実は島原出身者にもそうした枢要なポジションで活躍された先輩方がいる。

まず思い浮かべるのは、東京新聞の菖蒲宙一さん。沖縄返還を成し遂げた佐藤栄作首相の「番記者」だった。実に穏やかな紳士で、少しも偉ぶるところがない。

TBSに勤務されていた田近東吾さんは外信畑のエースで、ワシントン支局長、モスクワ支局長などを歴任された。この方も「島原弁」を決して忘れない温厚篤実なお人柄だ。

筆者としては、お二方のイメージが色濃く残っているので、朝日、毎日、NHKなどとともに「左巻き―」と揶揄されるのにはいささか抵抗がある。

無論、言論機関としての「組織論」であることは分かってはいるが、もう少し違う言い方をしてほしかった。ひょっとして、長崎北高時代の恩師、宮崎金助先生の「古典」の授業をないがしろにしていたツケか!?