2006/09/27

ウナジに強い決意の表れ - テーマは「粋な男の一人旅」 -

 「トットット」や「スースース」はかつて "九州人" にしか解らない方言だったが、タモリや武田鉄矢らの活躍のおかげで、今や全国的にも通用する状態表示語になった。その独特の "言語感覚" を社名に取り入れた、地域密着型のベンチャービジネスが近く、島原市で始まる。

 筆者は記者会見(市役所)、起工式(湊新地)ともに参加した。首都圏進出以来、足掛け20年にわたって蓄積した、国内外の食に関する "ノウハウ" を一挙に注ぎ込むべく、社長には「みそ半」の松永忠徳さん(56)が就任した。

  松永さんの発想は極めてユニークだ。その原点は島高時代の恩師、故木下正彦先生(美術)によるものだ、という。彫刻が専門だった木下先生は一本の木を取り 出し、こう語った。「いいか松永、この中には『仏像』が宿っている。それを彫り出していくのが芸術。人生も同じだ」。

 「とっとっと」のメーンテーマは「粋な男の一人旅」。都会の暮らしに疲れ果てた団塊旦那衆の胸をくすぐるフレーズだ。松永さんは、その「粋」という言葉が大好きだという。

 理由を聞くと、「聞きかじりだが、『粋』という字は『米を砕く』から来ている。すなわち、余分なモノをそぎ落としていく、という意味。根底の部分で、木下先生の考えにも相通じるものがある」と。

 一方で「遊び」の方も豪快だ。ゴルフは夫婦そろってシングルの腕前。漁協の正組合員を自負するだけあって、船舶免許は1級。農業にも造詣が深い。

 起工式には地元政財界から約50人が出席。澄みわたった秋空のもと、神事が営まれ、パートナーの山本蔦五郎さんや満井敏隆さんらとともに事業繁栄を願って玉串を捧げた。

 筆者も後方に座らせていただいたが、ふと読みかけていた塩野七生(しおの・ななみ)さんのエッセイ『男たちへ』の一節を思い出した。手元にないので、正確な引用はできないが、確か「西洋の男に比べて、日本人男性のウナジには力強さがない」と記してあったように思う。

 そんなことを思い浮かべながら、前方に座っている "島原男" どものボンノクボ付近を眺めていた。十人十色、千差万別。白髪交じりもいれば、薄いのも、テカっているのもいた。

 遠目に松永さんのウナジが見えた。綺麗で力強かった。「首を洗う覚悟」で、この古里再生事業に打ち込む。その「決意の表れ」と見た。

   ※    ※

 同社ではコンサートホール用のグランドピアノの提供を呼びかけている。「手作りで始めたばかりで資金的に余裕がないので、ご寄贈下さる方を探しています」ということだ。連絡は開設準備室まで(電話65-2000)。