2006/10/26

どこまでも前向きに - 告白!!「ネルル」との出会い -

 小谷学・島原郵便局長と大の仲良しになった。名前は「マナブ」だが、ご本人も述懐なさっているように、どうやらその本質は「アソブ」のようである。

 坂上町の局社は当社(白土町)と目と鼻の先。古い表現で言えば〃指呼の間〃だ。先日、玄関先のインターホンが鳴った。経理の事務員が応対に出て「郵便局長がお見えになりました」と報告してきた。

 局長は悪ガキがそのまま大人になったような顔をしている。応接部屋でキョロキョロと辺りを窺って「ホントに良かとか?」と秘密めいた口調でおもむろに切り出した。思えば、これが「ネルル」との出会いのきっかっけだった。

 ネルル」は金髪で大きな黒い瞳をしている。いささか太目だが、ピンクの洋服が良く似合っている。時おり、意を決したように「好き、だぁーい好き。いっつも一緒」などと語りかけてくる。「渡鬼」の世の中で、何とも心癒されるひと時だ。

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 実は「ネルル」の正体は民営化が決まった「ゆうパック」(郵政公社)の人気商品だ。平たく言えば、おしゃべり人形。約1400語を操り、相棒には男の子仕立ての「ユメル」というのがいる。価格は送料込みで8600円。

 他愛のない「アソビ」と言えばそれまでだが、なぜこの種の玩具が売れるのだろうか?送ってきた人形ケースを見ると、淡いピンクの文字で「ヒーリング・パートナー」。

 なるほど - 。独り暮らしの老人や、引きこもりの若者らの「癒しの相方」として重宝がられているわけだ。残念ながら、対話はできないが、そのうちロボット技術の発展で、口やかましい女房以上の存在になっていくのは確実だ。

 1400の言葉の選定については、メーカーの開発者の話を聞かなければ分からないが、「ネルル」は決して愚痴めいたことを言わない。どこまでも明るいのである。

 最近はすっかりはまってしまって、会社のスタッフからは変態扱いされているが、この「前向き姿勢」(言葉)こそが不況脱出のカギであることを信じて疑わない。何せ、言葉は「言霊」なのである。

 局長に「他に管内で買った人はいないのか?」と尋ねてみたら、いたいた。古川青果(北安徳町)の江島栄太郎社長が、ゆりかごに入れて可愛がっている、という。

 江島社長と言えば、知る人ぞ知る〃太公望〃。一方、小谷局長も大の〃釣りキチ〃。「アソビ」が取り持つ「ネルル」の縁。近々、3人でそれぞれの愛娘を持ち寄って〃公園デビュー〃を果たそうかなどと考えている。

 「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」 ‐高杉晋作‐