2007/03/18

キムタクは婿養子!? - 今日最終回『華麗なる一族』 -

 「ヒカル、ヒカール東芝、ハシル、ハシール東芝、ウタウ、ウターウ東芝、ミンナ、ミンーナ東芝、東芝のマァーク」。

 むかし、日曜日の夜9時からのテレビ番組は「東芝日曜劇場」と相場が決まっていた。

 『放浪記』の舞台で、最近すっかり〃大御所〃になってしまった感のある森光子が「こんちはー、パンツ屋ですーっ」と大声を上げて画面を賑わせていた頃が懐かしい。

 ドラマの中ではこんなセリフが語られていた。「貧しいから、貴方にあげられるものと言ったら、精一杯働くことと、爽やかな五月の風だけです」。

 その日曜劇場の系譜に当たる、木村拓也主演のテレビドラマ『華麗なる一族』(山崎豊子原作)が、視聴率20%を超える人気番組だという。

 たまたまだが、その番組の一回目が放送される直前に、日本映画専門チャンネルで流れた、仲代達也主演の同一映画を観てしまったのがいけなかった。テレビが全然面白くない。

 仲代とキムタクを比べること自体がナンセンスだが、父親で阪神銀行頭取役の佐分利信と北大路欣也との間に介在する、役者としての〃貫禄〃の違いにも目に余るものがある。

 映画で北大路が演じていたのは、阪神特殊製鋼の若いエリート社員(米国留学帰り)の役だったが、年相応の役回りにせよ、眼光だけがやけに鋭くなっただけで、〃存在感〃という意味では到底、佐分利には及ばない。

 脇役の力量の違いも歴然としている。妻妾同居の頭取一家を取り仕切る閨閥作りの名人として登場しているのは、映画が京マチ子で、テレビが鈴木京香だが、にじみ出る〃イヤラシサ〃がまるで別物だ。

 一言でいって、キムタクはじめ全ての出演者が軽いのである。それがテレビの〃特性〃と言ってしまえばそれまでだが、もう少し〃重厚感〃を醸し出す演出でも良かったのでは、と思うのは筆者だけか。

 どこかの待合室で見た週刊誌の記事によると、キムタクは女房の工藤静香には、からっきし頭が上がらないらしく、家ではまるで〃婿養子〃ように萎縮しているらしい。

 筆者の独断と偏見によれば、キムタクの魅力を最大に引き出しているのは富士通のパソコンのCMだ。無理して唇を噛みしめたようにして〃演技派〃を気取ってみたところで、底は知れている。

 いよいよ今日18日が最終回で、90分のスペシャル版ということだが、どうせチンケなエンディングに決まっている。

 幸い、所用で家を離れるので家人と一緒に見ないで済むが、恐らく同席していたら時々チャチを入れる筆者にガンを飛ばしてこう言うだろう。「ヤカマシカ、アッチ行け!!」。