2007/04/17

煙草税2億8千万円強 - それでもアナタは嫌煙派!? -

 起き抜けに煙草を5、6本立て続けに吸うのがすっかり日課となってしまった。切らした日などは、何はさておいても近くの平野食堂(自販機)へ直行だ。

 それにしても愛煙家には辛い世の中になったものだ、と嘆いていたら、野坂昭如編『けむりの居場所』(幻戯書房・06年刊)というエッセイ集に巡り合えてホッとしている。

 週刊文春で連載中の「喫煙室」(JT協賛)のアンソロジーで、本の帯によれば、32人の〃人生の味〃という触れ込みだ。

 巻頭を飾っているのはヘミングウエイの魅力とも相通じる、稀代の冒険作家、開高健(かいこう・たけし)氏。89年没。『ちょっと一服』というタイトルで自身のタバコ論を巧みに開陳している。

 中で2人の〃大物〃の喫煙スタイルが紹介されている。1人は20世紀を代表するフランスの大哲学者、サルトル。

 「彼は大碗のブラック・コーヒーをすすり、1秒の休みもなくツバをとばしてだみ声でしゃべりつづけ、ひっきりなしに『ボヤール』をふかしていた」。

 続けて毛沢東。「茫洋としたゾウに似ていて、やっぱりチェイン・スモーカーだった。のべつに『パンダ』の缶に手をのばし、煙のなかで小さな眼を細くし、ぶわぶわした肉に埋もれて幸福そうでもあり、老いたことを弔んでいるようにも見えた」。

 「よこにやせて、小さな、眉の濃い周恩来がいて、ゆったりと腕を組み、煙草は1本も吸わず、毛沢東の消えかかった記憶をときどき低声で訂正したり、確認したりしてやっていた」。

 同章の最後はこう結んでいる。「チェイン・スモーキングは焦燥の表徴だと心理学者はいう。とすると、この3人(もう1人はソヴィエトの文学者、エレンブルグ)は心が渇いていて、一瞬の安住も拒んでいたことになる。時代は煙のなかで構想され、かつは消えかつは現れるか」と。

 しばらく以前にこの文章を読んでいたせいか、先般来日した温家宝首相をはじめ現中国指導者の喫煙スタイルが気になるところだが、すでに人民服を脱ぎ捨てた時点で「ノー・スモーキング」世代へと変節しているのだろうか。

 この4月から飛行機に続いてJR各線も「禁煙車両」とされ、愛煙家は益々肩身が狭くなってしまった。「だいたい国鉄の赤字を救ったのは我々タバコ吸いではないか!!」と憤ってみたところで、そんな声は煙のように消えていくだけ。

 せめても抵抗で、島原市役所に税収への貢献度を尋ねてみたら、ナンと、「2億8千5百万円強」(平成17年度)。市民1人あたり7千円超。それでもアナタは嫌煙派?

 「あったり前でしょ。副流煙被害をどうしてくれるのよ!!」。まあ、双方言い分があるようで…。仕方がない、歯科医院に行ってヤニでも除去してもらうか。