2007/04/24

予想外れた長崎市長選 - ともあれ田上さんオメデトウ -

 当然、娘ムコ殿が当選するものと予想していたら、あにはからんや、退路を断って出馬した元市役所課長に軍配が上がった。

 何はともあれ、田上(たうえ)さんオメデトウ。横尾さんは残念でしょうが、今しばらくは記者の立場で、長崎市勢発展のため、ご尽力下さい。

 昨夜は知人宅で焼酎をいただきながら選挙速報の番組を見ていた。「なるほど、福島は渡辺黄門さまのお膝元だから、民主候補の勝利が固い」「ふむふむ、沖縄は自民の女性候補の勝ちか。良く見ると、なかなか美形ではないか」-。

 でも、やっぱり注目の的は「長崎市長選」であった。出口調査はほぼ互角。とすれば、無党派層の票の行方で決まるのか。

 酒の勢いも手伝ってか、場面、場面で厳しい論評が飛び交う。「ムコ殿のメガネが気に入らん」「後から換えとるとん。こっちが良か」「何となく藤波孝生(元自民党幹事長)にも雰囲気ん似ちょっとん」。

 たいがい全員に酔いが回ってきた頃合いを見計らったかのように、田上氏に「当確」マークが打たれた。一件落着である。

 一夜明けて、朝からもテレビのワイドショーを見ていたが、そもそも「弔い合戦」なのに「返り討ち」に遭ったら、かわいそうじゃないか…。

 しかしながら、その点では、「市職員の自分にとっても『弔い合戦』に他ならない」と語り、「首長の世襲問題」として訴え続けた田上氏の作戦勝ちか。

 いま一つ解せないのは、盛り上がらなかった投票率(55%強)と、無効票の多さ(約一万五千票)。やはり長崎人の根底には「市長はヨソモンには任せられん」という〃共通認識〃があったに違いない。

 これはまったくうがった見方だろうが、仮にムコ殿が県紙や県内民放局の記者であったら、結果は違ったものになっていたかも知れない。

 西日本新聞の記者はこのところ政治づいており、昨年行われた福岡市長選では50歳(当時)の吉田宏氏が激戦の末、現職市長を破って当選。「福岡に続いて長崎もやられてなるものか」との思いがどこかにあったかも知れない。

 休日を利用して長崎市内を訪れていた弊社の社員が淡々とこう言っていた。「やっぱり敗因はあのメガネと、ドシャ降りの雨だったでしょうね…」。

 いずれにしても全国注視の長崎市長選の幕は終えた。報道によれば、田上氏は「長崎さるく博」を仕掛けたアイデアマンだという。今後のリーダーシップに期待する。

 一方の横尾氏はまだ若い。本当に長崎に骨を埋める覚悟なら、再戦を期しても決して非難されるものではない、と思う。

 諺とは逆だが、「長崎の仇を江戸で」の気概で、官邸での捲土重来を期待している。