残念〃下心〃実らず - まさに口は災いの元!! -
「愛」はその中心に「心」がある。しかるに「恋」の「心」は下に位置している。すなわち、それは〃下心〃である。
なんて、他愛もない話を、以前に聞いたことがあるが、昨夜の出来事は一体何だったんだろう?
時は夕闇迫る7時頃。場所は湊新地の漁人市場「とっとっと」の殿さん蔵レストラン。旧知のキリンビール関係者とワインをいただいていた。
と、まだ薄明るい窓越しにニコニコしながら手を振る御仁がいる。良く見ると、元島原信用組合理事長の山林正直さんだ。
同伴しているのは今風の若い女の子2人。「お孫さんかな…」と思っていたら、散歩の途中に「魚の美味い所を紹介して」と言われて連れて来たのだ、という。なるほど、山林さんは上下ともウォーキング・スタイルだ。
「この人は地元の新聞社の人だから、何でも分からん事があったら訊きなさい」。山林さんはそう言い残して夕闇の彼方へ消えて行った。
「どこから来たの?」。「栃木の宇都宮から来ました」。たまたまキリンの片割れが栃木県出身だったので、話は俄然盛り上がった。
「平日に旅行とは優雅だね」。「はい、2人ともサービス業関係に勤めているものですから、連休前にお休みをいただきました」。とてもハキハキと感じの良い受け答えだ。
「で、今日は島原に泊まるの。良いよ、島原は。温泉はあるし。さあ、オジサンたちと島原の夜を満喫しようか」。完全に見え見えの〃下心〃である。
「ゴメンナサイ。私たち、宿は長崎です。○○ホテルを予約しています。稲佐山からの夜景を見たいので、そろそろ失礼します」。
「ちょっと待って、○○は僕も時々泊まるけど、あそこは幽霊がでるからやめた方がいいよ。それよりここでゆっくり飲んで、温泉でもつかっていったら。何ならホテルは僕が手配するから」。
オジサン必死の訴えも、笑いながら軽くいなされてしまう。「ところで、さっきサービス業って言ってたけど、観光関係?それとも市民サービスという意味で公務員かな?」。
「まあ、そんなことより、お腹が空いたでしょう。この刺身美味しいよ。ふぐ刺しも食べなさい」。「ほんとに島原の魚は美味しいですね」。
時計の針は8時に迫ろうとしていた。と、やにわに立ち上がった2人は、毅然とした口調で「ごちそうさまでした。やっぱり長崎の夜景だけはどうしても見たいので、失礼します」。
一緒に記念写真にもおさまったので、名刺を渡すと、「実は私たちは同じホテルチェーンの宇都宮○○に勤めているんですよ。幽霊が出るかどうか確かめてきます。サヨサラ」
まさに、口は災いの元。机上には伝票だけが残っていた。
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