2007/06/22

「環境」が最大のテーマ - 地域メディアの可能性と責任 [3] -

 【田原】私は月に一度、故郷の滋賀県に足を運んで「琵琶湖塾」というシンポジウムを開いています。毎回、五百人くらいが参加しますが、地元のテレビ局はまったく放送しません。この状況はCATVにとってはチャンスなのに…。地域はそこのメディアの頑張り次第で変わります。

 【田原】何だか、私一人がしゃかりきに喋っているようですが、「介護」の問題で言うと、65歳以上を「高齢者」として同列に括るのは良くない。頭が元気なうちは目いっぱい働かせること。死ぬまで働いてもらうんですよ。(笑い)

 【ばば】そう言えば、我々が東京12チャンネルにいた頃は、視聴率が取れずに、ビデオリサーチ等の調査ではいつも「※印」でしたね(笑い)。ところが、今でも視聴率表を見ると、60歳以上の欄が欠落しています。これは断然おかしいですね。

 【田原】その上の層にビジネスチャンスがあるのに。すき間はいくらでもあります。今では大企業もそれを狙っています。キヤノンの御手洗さんの凄いところは、パソコン市場7位の地位を捨てて、周辺機器の製造に特化したことです。IT産業にとっては、すき間の部分こそが、新たな需要を生み出すものです。

 【ばば】ところで、田原さん。日本のジャーナリズムの行く末をどう見ていますか。我々も相当ガタがきている年代で、筑紫哲也さんもガンになった。まあ、近々復帰されるとは思うんですが…。

 【田原】私は安部総理が祖父さん恋しさからか、「戦後体制からの脱却を!!」と、しきりに唱えているのが不思議でならない。じゃ、どこへ行こうとしているのか。まったく伝わってきませんね。

 【ばば】政治家にもジャーナリストにも、もっと五十年、百年先を見据えてほしいですよね。

 【田原】作家の村上龍が今のニッポンをこう表現しています。「何でもあるが、夢がない」と。これから大切なのは東京女子大の建学精神にもある「奉仕」と「自己犠牲」といった考え方です。ケネディも同じことを言っています。

 【ばば】個人益より会社益。それより地域益。さらには国家益、地球益といった精神構造ですね。

 【田原】今、世界にとって一番大切なのは「環境」問題です。京都議定書によれば、2012年までに欧州で8%、米国で7%、日本で6%の二酸化炭素削減を目標にしていたのに、日本だけ見ても、逆に8%も増えている。由々しき問題です。

 【ばば】これからは地域ジャーナリズムにとっても、環境問題は避けては通れませんよね。

 【田原】実業界ではトヨタもホンダも松下も、社を挙げて二酸化炭素削減に取り組んでいます。これからは、「省エネ路線」でなければ、何も商売になりませんよ。

‐おわり‐