2007/07/04

奥深い剣道の「残心」 - 勝利のポーズも色々だが… -

 昨日の月曜日(2日)は、やたらと早起きしてしまって、テレビのチャンネルをザッピング(次々に回していくこと)していたら、テレ朝系で「第62回全米女子オープン」の模様を放映していた。

 日本からは宮里藍、大山志保、横峯さくらの3人が出場していたが、残念ながら、来年度の出場権を獲得できたのは宮里(10位)のみ。他の二人はあと一歩のところで及ばなかった(22位タイ)。

 優勝争いを演じたのはクリスティー・カー(米国)と、昨年度賞金女王のロレーナ・オチョア(メキシコ)で、二人とも〃メジャー初制覇〃を懸けての戦いだった。

 結局、最後はカーがオチョアの追撃を振り切って幕を閉じた。優勝賞金は56万ドル、日本円に換算してナント約6千900万円だというから驚きだ。

 実はこの試合では、勝敗の行方よりむしろ、優勝者のパフォーマンスそのものに注目していた。初優勝だから、陽気なアメリカンらしく勝利の雄叫びをあげるのか…などと。

 ところが、カーの動きは違った。最後のパットを沈めた瞬間から、じっとその場に佇み、静かに両手で顔を覆った。完全に予想に反した形だったが、心地よい感動すら覚えた。

 男子プロの王者とも言うべきタイガー・ウッズの右手を突き上げるようなポーズは余りも有名で、アマチュアゴルフ界でも良く真似をする人がいる。

 本来であれば、拙者もその部類に入るところだが、飛距離から言って〃パー以上〃のスコアの可能性はないので、まずもってその局面に到達しない。

 ゲーム、スポーツに限らず、人生には「勝ち」「負け」が必ず存在する。眩いばかりに光り輝く勝利者。その陰でがっくりと肩を落とす敗残者。コンピュータの世界にも通じる「陰陽」の対比だ。

 そんなことを考えながら、ふと先日耳にした、剣道における「残心」の話を思い出した。教えてくれたのは、ゴルフの優勝経験豊富な宅島建設営業部長(取締役)の宅島寿孝氏。

 「剣道の試合では、自分の竹刀が相手をとらえたからと言って、舞い上がって喜んでいるようでは、絶対に『一本』とはなりません。大切なのはその後の『残心』なのです」。

 氏によれば、「そこが剣道と他競技との大きな違い。剣道の『一本』は『気』『剣』『体』が一致して初めて認められるもの」。

 そう言えば、オリンピックの柔道なんかでも、優勝した日本人選手が派手なガッツ・ポーズをしている場面を良く見かけるようになった。

 これも氏から聞いた話だが、大リーグではホームランを打った後に、決してその打者はガッツ・ポーズをしない。

 なぜなら、その行為は投手を侮辱することであり、次回の「死球」を約束することだ、と。こちらも奥が深い。