正義が国を亡ぼす!? - 人間は不完全極まりない存在 -
一昨日は、明け方から激しい雨に見舞われた。少し寝坊していたら、高校生の次男が「学校まで送ってくれ」と。
確かに送り届けて、朝飯を済ませたら、今度は中学生の三男坊が「お父さん、送ってー」と猫なで声で近寄ってきた。
一瞬、父親としての威厳の保持と、甘やかし教育への疑問の狭間で迷ったが、やはり〃出来が悪い子〃ほど可愛く、ついついハンドルを握らされた。
大手の交差点を右折して、堀端を時計と逆回りに半周。南陽堂前の変則三差路付近には、同類の〃親バカチャンリン〃がたむろしていた。
この季節、若葉の緑が目に沁みる。巷では色々いやな事件が頻発しているが、やっぱり島原は、日本は美しい、と思う。
以前にも書いたかも知れないが、有難いではないか。噴火災害時には、少しの雨でも〃必ず〃と言ってよいほど土石流が発生していたことを思うと。
高田勇元県知事のコメントが忘れられない。「夜、長崎の公舎で雨音を聞く度、島原・深江のことが心配になって、居ても立ってもいられなかった」-。
「国(自治体)が国民(市県民)の生命・財産を守るのは当然のこと」という論理は至極単純で、しかも全うなことだ。だが、その組織(システム)を稼動させるのは、不完全極まりない〃人間〃である、ということを同時に忘れてはならない。
拙者が高校生の頃、梅雨期になると国道二五一号(南串山 - 加津佐間)でガケ崩れが頻発していた。当然のことながら、スクールバスも止まった。
今のように携帯電話も普及していなかったので、復旧状況の把握も容易ではなかった。大雨が降れば、たいがい半日はつぶれた。
しかし、偉い先生がいたもので、国語(漢文)を担当していたM先生(南串山町在住)は、雨の中を自家用の耕運機で学校に乗りつけたという〃武勇伝〃を残している。
つい先年まで気付かなかったが、愛野展望台の一角に国道二五一号の敷設に尽力した、元建設大臣・馬場元治さん(南串山町出身)の銅像が建っている。
普賢岳の噴火活動で手痛い打撃を受けた島原・深江地区はもとより、南目のガケ崩れ頻発地帯にも、頑強なロックシェッドが張られ、通行の安全性が確保されている。
別段、舌禍事件で大臣を辞任したK先生を庇うわけではないが、馬場先生ともども島原半島には少なからぬ貢献をしていることも〃事実〃である。
「覆水盆に還らず」の喩えにもある通り、国の安全保障を預かる大臣としては甚だ思慮を欠いた発言で、いくら弁明しようとも取り返しはつかない。
ただ、よってたかって方式のマスコミ論調は…。「正義が国を亡ぼす」という山本夏彦翁の言葉を噛み締めている。
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