2007/07/07

「災」は「川」の一族 - 汚い河川管理に今日もタメ息 -

 7月7日はご存知「七夕」である。学研『今日は何の日?』によれば、五節句の一つで、天の川に隔てられた牽牛星と、織姫星が年に一度、この夜にだけ出逢うという伝説にちなむ。

 もともとは古代中国に伝わる「乞巧奠」(きこうでん)というという女子の技芸の上達を願った風習に、我が国神事の一種である「棚機女」(たなばたつめ)の信仰が結び付いたもの。歴史は古く、奈良時代から宮中行事として行われていた、という。

 この原稿を書いている時点での天気予報では、どうやら雨模様で、天の川のランデ・ブーは拝めそうにないが、天空のベールの向こう側に想いを馳せながら、「北田物産の創立30周年記念パーティ」で一献傾けることにしよう。

 同書に記されている7月7日の欄を見ると、他に「川の日」があった。建設省(現国土交通省)が平成8年に制定したもので、「七夕」伝説にちなみつつ、7月が「河川愛護月間」でもあることから。

 白川静さんの漢字暦(平凡社)も7月は「川」を取り上げている。川に類する漢字は沢山ある。そのまま列挙してみると、「江」「河」「深」「順」「泰」「災」など。

 元になる「川」の字の原形は、流れている水の形で、線の長さは流れの強弱。面白いのは平仮名「つ」、カタカナ「ツ」が「川」の古音に由来している、という説。

 「泰」の字の解説は想定外だ。「人を両手でおし上げている形で、水中に陥った人を、左右から救いあげている様を表わす」と。それを略した形が「太」だという。

 「災」と言う字も「川」の一族だった。水流が遮られて横流する形から来ており、人火が「火」、天火が「災」。「災」は水火のわざわいを併せた文字だ、という。

 学研の記念日事典を読む限りにおいては、「川の日」の制定にあたっては、「災害」とは切り離されているようだが、期せずしてその目的と合致しており、なかなか興味深い。

 ところで、島原半島には大きな河がない。あってもチョロチョロ流れる小さな川だ。この点は本州や四国など全国の他地域を旅してみると、いささか羨ましくもある。

 鮎漁の解禁日は全国一斉で、確か6月1日だったと記憶しているが、島原市周辺の河川では規模からいっても、まずそうした風物詩は望めない。

 だからと言って、悲観する必要もなかろう。何と言っても、島原には全国でも屈指の湧き水がある。有明海だって運河になぞらえれば、魚種豊富な大河である。

 ただ、残念なのは、その小さな川でさえ周辺の〃生活雑排水〃が流れ込んで管理が行き届いていないこと。透明感溢れる湧水とのミスマッチに、今日もタメ息が漏れる。