2007/07/22

本当に〃やらせ〃なの? - すっぴん魂でいきましょう -

 北京産の肉まんに含まれている段ボールの比率は6割だった - との訂正記事を出したばかりなのに、今度は《あれはテレビ局の〃やらせ〃だった》との報。

 おいおい一体どうなっているんだ、と愚痴っていたら、ある古参社員が「あれは世界各国からの余りの反響の大きさに、当局が驚いて事態収拾を図っただけ。実際のところはわかりませんよ」と慰められた。

 ミートホープ社(北海道苫小牧市)を皮切りに、世間を騒がせた挽肉問題。「羊頭狗肉」の故事の世界を地でいく、何とも〃後味の悪い〃幕切れとなりそうだが、一言でいえば「捏造」「誤魔化し」である。

 「捏」の訓読みは「こねる」。消費者からすれば、何の肉か判らない材料を「こねくりまわされた」揚句に、商標を偽って買わされていたわけだ。

 『字通』で調べてみると、「捏」の語源は、轆轤(ろくろ)で土器の形を整えることに由来しているらしい。とすれば、今回の一連の事件は、完成した土器が、「信用」「信頼」ともども粉砕してしまった、ということか。

 英語で「捏造」を意味する単語は「インベンション」「ファブリケーション」などだが、日本語にもなった「メイク・アップ」(化粧)にもそうした意味があるようだ。

 すなわち、余り美しくない女性が、素顔に化粧を施すことによって「醜」の部分を覆い隠す。立派な「捏造」の類いである。そのような女性に入れあげる多くの殿方は、ある意味、被害者!?

 化粧をしていない素顔の状態を「すっぴん」というそうだが、「す」は「素」として理解できるが、「ぴん」とは一体何?広辞苑(第四版)を引いたが、掲載がない。

 マージャンで言うところの「ピンズ」と何か関係があるのか。こんど〃雀鬼〃として知られる本屋の旦那(Kさん)に会った時でも、訊いてみよう。

 その「すっぴん」をタイトルに冠して健筆をふるっているのが女優の室井滋さん。週刊文春に連載中の『すっぴん魂(こん)』で、もう五百回以上を数えているから大したものだ。

 芸能界においては、達意の書き手が時々登場する。室井さんもその一人だが、宮崎康平先生が生前よくおっしゃっていた。「森繁(久彌さん)は文章もうまかっぞ!!」。

 どういうわけかその一言が耳に鮮明に残っており、時々〃森繁本〃を買い求めては、楽しませていただいている。

 この大御所が若かりし頃に、東宝の『社長シリーズ』で演じて見せた役柄はまさに〃秀逸〃。社長以前の生身としての〃男性〃の「すっぴん」状態がそこに描かれている。

 「すっぴん」とは、手を加えない「そのまんま」の姿。宮崎県知事の評判の良さもその辺りだろうか。