2007/08/07

感動をありがとう!! - 見直したレスリングの魅力 -

 西川清人さん(有明町大三東・写真家)が存命の頃、島原新聞にこんな内容の「求人広告」を出してくれた。

 「求む人材!!」とのタイトルの後に並んだ条件は「高校時代、クラブ活動で頑張った者。ただし、レギュラーで活躍した人間を除く」と。

 さらに「最低賃金は保証…」と続くわけだが、今にして思うに、西川さんらしい、実に〃含蓄〃に富んだ表現である。

 先週末、4日連続で「徐福の里」(佐賀市諸富町)に通った。その距離、往復で300キロ余。合算すると優に1000キロを超える。

 目的は、西川さんの〃採用条件〃に見事に合致する次男がお世話になっている「島原高校レスリング部」(喜多龍昭監督)応援のためだ。

 残念ながら団体競技は2回戦で敗退。7階級に6人が出場した個人戦も、2人がベスト8入りを果たしただけで終わったが、不思議な〃充実感〃に包まれている。

 正直なところ、次男がそれまで経験のないレスリング部を志望した時は、ある種〃戸惑い〃を感じた。「体力的にも恵まれていないのに、マイナーなスポーツをなぜ…」と。

 しかし、幾度か試合会場に足を運んでいるうちに、その考えはまったくの〃思い違い〃であることに気付いた。殊に全国大会ともなると、その〃熱気〃は異様ですらある。

 ジャージの背中には「○○魂」や、関取が横綱・大関に昇進した際に披露される漢字の「四文字熟語」が並ぶ。ちなみに島高のそれは「不撓不屈」だ。

 待合のロビーですれ違う選手や関係者の耳たぶはいずれも「餃子」状。耳穴が完全に塞がっているような〃猛者〃も多く見受けられた。

 後半2日間は、沖縄出張から駆け付けた柳川校長とともに声を枯らした。いずれの試合も勝敗はまさに〃紙一重〃。

 力とワザの真っ向勝負!!2ラウンド、都合4分の試合時間。一瞬のスキが「勝者」と「敗者」を冷酷に分かつ。もう始まる前から、感動の余り涙ぐんでしまうほどだ。

 島原勢では、島原工業高校2年生の松本岬君が74キロ級でベスト4に入ったのが最高だったが、孤軍で戦ったその〃勇姿〃が忘れられない。

 〃常勝〃を期待されるプレッシャーの中で、それぞれに〃潜在能力〃を発揮した岩永義成(3年・84キロ級)、晃範(2年・66キロ級)兄弟のベスト8入りも見事だった。

 120キロ級に出場した馬場貴大君(1年)は、体重差をものともせず正攻法でぶつかって3回戦まで進出。将来の大器ぶりをうかがわせた。

 頼もしく思えたのは佐賀大学に進んでいる島高卒業生の応援。さあ、今日7日からは剣道部(渡辺孝経監督)の登場だ。