2007/10/01

人生は「緩慢な自殺」 - 残虐事件の背景に幼児性の影 -

 1日付長崎新聞社会面の囲み記事によれば、「自作対策」の分野において、本県は佐賀県と並んで全国第4位だという(NPO法人、自殺対策支援センター「ライフリンク」調べ)。

 ちなみに、1位から3位までは、秋田、岩手、青森の東北3県が占め、年間自殺者数No.1(2,510人)の東京都は38位ということだ。

 長崎、佐賀両県が上位に食い込んでいる理由については、「精神科医と内科医とのネットワークづくりが進んでいるため」と分析している。

 この記事とは全く関係ないが、故・宮崎康平氏夫人の宮崎和子さんをモデルにした「東映映画」の脚本担当となっている、大石静さんのエッセイ集をたまたま読む機会があった。

 これが頗る面白い。タイトルは『日本のイキ』。もともとは、数年前に週刊誌上に連載されていたもの(リライト版)だが、なかなかに味わいのだ。

 その最終章『過ぎ去る時間』の書き出しはこうだ - 。「人生は緩慢な自殺だというけれど、本当に残り時間はじわじわと、いや、刻々と短くなっていく」。

 そう、人生は「緩慢な自殺」なのだ!!何も死に急ぐことはない!!百歳以上が何十万人とか「敬老の日」前後には騒いでいるが、おっつけ人間は皆死ぬ。

 30年以上も前に亡くなったジイちゃんがよく言っていた。「時という字を分析すれば、『日』に『日』に『寺』に近付く」と。まさに「生あるものは死す。形あるものは崩る」が世の常なのだ。

 大石さんは、「天才は夭逝する」という〃史実〃も一部例示している。樋口一葉24歳。滝廉太郎24歳。石川啄木26歳。沢村栄治27歳。山中貞男29歳。佐伯裕三30歳。シューベルト31歳。

 イエス・キリスト32歳。モーツァルト、正岡子規、芥川龍之介の三人はいずれも35歳。[幕末期]沖田総司26歳、坂本龍馬32歳、近藤勇34歳、土方歳三34歳。[遡って]源義経30歳。

 一方で、「(今の日本では)子供達がどんどん未熟になっており、その結果、当然未熟な大人も増える。明治の人に比べたら、本当に私は子供だと思う。恥ずかしい限りだ」と、自虐の念を吐露する一幕も。

 確かに、今の世の中は随所で「幼児性」のオンパレードだ。極端な話、昔なら到底考えられないような残虐な「尊属殺人」が続いているのも、犯人の「幼児性」に帰結するような気すらする。

 大石さん自身、若い頃からの「ガン患者」である、という。であるからこそ、「命」の重みが人一倍身に沁みるのであろう。

 末尾の部分における田村隆一さん(詩人)の言葉が印象的だ - 。「天才は若死にしてもいい。天才でない我々には長生きの義務がある」と。

まさにその通り。凡人の「緩慢な自殺」こそが、各々の人生における「ドラマ」の脚本と成り得る。

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大石 静
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