素晴らしかった馬頭琴 - 東京では皇太子殿下と競演 -
世界が泣いた。そして島原も泣いた。15日夜、島原文化会館で開かれた「モンゴル国立馬頭琴交響楽団」のコンサートは実に素晴らしかった。
「感動」という表現は安っぽく遣うべきではないが、会場を埋めた予想を遥かに上回る(?)約1000人の聴衆は等しく同じ思いを抱いたもの、と想われる。
モンゴル国。首都ウランバートル。面積は日本の約4倍。人口260万人。1キロ平方メートル当たりの人口密度で言うと、日本が約330人にあるのに対し、わずかに2人。ちなみに、お隣中国は130人。
日本とは4000キロほど離れているが、近年は横綱の朝青龍や白鵬などの大相撲力士を輩出するなどして、その距離は年々縮まりつつある。また、民間交流も盛んになってきている。
同コンサートは日蒙の国交樹立35周年を記念して開催されたもの。九州では福岡、長崎に続く公演だったが、島原は圧倒的な〃集客力〃で前二市を凌駕。楽団員の演奏にもひときわ力がこもった。
この結果には、主催した同実行委の山本蔦五郎&由夫父子もビックリ。以前からモンゴル事情に詳しい〃仕掛け人〃の「漁人市場・とっとっと」社長、松永忠徳さんもニンマリだ。
肝心のコンサート模様の説明については、本紙の一般記事やカボチャテレビの放映に任せるとして、どうして馬頭琴の響きがこうまでも日本人の心を揺さぶるのだろうか。
ステージ上でタクトを振るコンサートマスターや約30人の楽団員は、当然のことながら「エリート中のエリート」だ。日本で言うなら、全員が東京芸大の卒業生のようなものだ。
拙者は前二列目で鑑賞させて頂いたのだが、何より感心したのは全員の表情。今時のニッポンでは、めったに見かけなくなった〃真剣勝負〃の面持ちだ。
もちろん「音楽」である以上、楽しくなくてはならないが、まさしく〃心の琴線〃をかき鳴らすその音色以上に、国家を代表する〃矜持〃のようなものを感じた。
もっと言えば、いずれの曲も国家建設の〃使命感〃に満ち溢れていた。通常のコンサートでは、知っている曲に巡り合えた時だけ〃安心感〃のようなものを抱くのだが、今回は終始一貫して全霊を傾けて聴くことができた。
最近では耳垢が乾燥しているか、湿っているかで日本人としてのルーツを推量るらしいが、50を過ぎてもまだまだ〃ケツの青い〃拙者のそれは間違いなくモンゴリアンだろう。
一行はこの後、在大阪名誉領事、佐藤紀子さんの古里である山口に一泊して、皇太子殿下と競演することになっている東京へとバスで向かうという。その距離ざっと1000キロ。
「モンゴル人の感覚で言えば、隣町に行くようなものです」。松永社長は事も無げに笑い飛ばした。
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