2008/01/24

仕事より健康だよ!! - どこか狂っている現代社会 -

廊下のガラス戸越しに、サボテンの鉢植が小さな蕾を付けているのを見つけた。夏の盛り、無造作に水をかけていただけなのに、なんて律儀な奴だろう。

寒さのせいか、寄る年波か知らないが、このところ親しい人が立て続けに病床に伏したり、亡くなったりしている。これもまた、人間として逃れがたい〃宿命〃ではあろうが、何とも形容し難い心境だ。

そうしたこともあって小生も昨日、久方ぶりに大腸の検査を受けた。前日の段階から食事の量をセーブし、早朝5時半に起床。家人の手助けを得て、2リットルの液状下剤を約2時間かけて飲み干した。

検査は予定通り、午前10時から粛々と始まった。事前の問診で血圧を測ること3回。「おかしいですね、最低血圧が異常に高いですね」。看護婦さんの冷静な口調が、かえって小心をビクつかせる。

それでも必死に平静さを装いつつ検査室に入った。控えていたのは若い医師と看護婦スタッフが2名。お尻の部分がパックリと割れた紙パンツの上に検査着を羽織って、いざ診察台へ。

「ハーイ、力を抜いて下さい」。ゼリーを塗られた肛門に、最新医療の内臓カメラが潜り込む。もう恥ずかしさは消えた。

朦朧(もうろう)としながら、恐る恐るモニター画面を覗き込むこと約半時間。途中、カメラが留まって一瞬ドキッとする場面もあったが、さしたる病巣は確認できなかった。

思うに、人間の体は実に良く出来ている。一連の不祥事から立ち上がった船場吉兆の新社長は、先の記者会見の中で「マイクが『精巧』であったことに気付かなかった…」と言い訳をしていたが、人体とはその度合いが違う。

加えて、人間には「心」「精神」といった何物にも勝る「ソフトウエア」がもれなくハメ込まれている。が、それは時として組み合わせを変える。

かつては考えられなかった親殺し、子殺し。年間3万人を超える自殺者。残忍非道な犯罪や事故を引き起こしながらも、なおその正当性を主張する当事者や弁護人…。

おかしい。どこか狂っている、としか言いようがない世の中が今、この現代だ。政治が悪い。教育が悪い…。それも確かにそうだが、そうした社会を作ってしまったのは、他ならぬ現代の我々である。

ならば、社会を挙げて、人間本来の正しい軌道に戻らねばならない。時間はかかるだろうが、一つひとつ地道に取り組んでいくしか方法はない。

健全なる精神は、健全なる肉体に宿る - 。何はともあれ健康だ。病院に行ってみて改めて感じることは、病気やケガをしている人の数がいかに多いか、ということだ。

以前、ある先輩記者が言った。「清水君、原稿(仕事)より健康だよ」。今、改めてその意味を噛み締めている。