確かに近まる春の訪れ - 二枚の扇で巧みにバランスを -
連日、寒い日が続いているが、確実に春は近まっている。弊社事務所前の木々の芽も日増しにやわらいでいるように見える。
初冬に植えたチューリップの球根は、重い土を持ち上げるようにしてそろって芽を出し始めた。春はもうすぐそこだ。
「春」という字を『字通』(平凡社・白川静著)で引くと、長い、長い説明書きの後に、「蠢(うごめ)く」とあった。虫が地下からはいだす、いわゆる「啓蟄」(けいちつ)の意だ、と。
『広辞苑一日一語』(岩波書店)によれば、この季節に吹く風を「貝寄せの風」と言うそうだ。〈貝寄する風の手品や和歌の浦〉=芭蕉。
プロ野球のキャンプも各地で始まり、スポーツ新聞に「球春」の見出しが躍るのもちょうどこの頃。そして島原では間もなく、藩制時代以来の四百年の伝統を誇る「初市」が始まる。
そんな季節の移ろいの中、今日は東京から〃珍客〃が訪れた。弊社58チャンネルで放映している「囲碁・将棋チャンネル」の部長Iさんだ。
Iさんとは、昨年11月に宮崎市で開かれたCATV業界のトップセミナーでご一緒して以来、親しくお付き合い頂いている。
聞けば、同社の社長Mさんはハワイ・カウアイ島で不動産管理をしながらの優雅な暮らしぶり、とか。羨ましくもあるが、常夏の地に居ては「春到来!!」の感激はとても分かるまい、と勝手に一人ごちた。
Iさんからお土産を頂戴した。将棋の第14期銀河位の羽生善治さんと、第15期竜星位の張栩さんの直筆の書が印刷された扇だ。羽生さんの言葉は「克己」。張さんは「大志」としたためている。
Iさんには「島原・松平藩の家紋が『重ね扇』である」旨を伝え、丁重にお礼を述べた。それにしてもお二人とも字が下手だ。
扇で思い出した。経営コンサルタントの立川昭吾さん(TSKプランニング代表)が著書の中で、面白い〃例え話〃をしている。タイトルはずばり『なぜかお金が逃げる人大きくたまる人』(アーク出版)。
立川さんによれば、「団扇(うちわ)経営はダメ、扇(おおぎ)経営でなくてはならない」と。つまりは、「広げっぱなしでは、経営は成り立ってゆかないよ」との戒めだ。
なるほど、分かりやすい。その時々の経営環境に応じて、扇の幅を広めたり、狭めたり…。まさしく時宜にかなった論法だ、という気がする。
さらに感心したのは風呂敷の話。包む物が何も無ければ、たたんで懐に仕舞い込むことが出来るし、物の大きさに合わせて柔軟に対応出来る。これが日本文化を代表する、風呂敷最大の特長である。
繰り返すが、島原・松平藩の家紋は「重ね扇」。二枚の扇で巧みにバランスを取りながら、島原半島経済が破綻しないような道を皆で模索していかねば!!
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