2008/03/21

「ひつまぶし」の流儀 - 喫茶の最高名は「ひまつぶし」 -

別段「恥」でもないが、この年になるまで「ひつまぶし」を食べたことがなかった。TVの名古屋特番などで視たことはあったので、存在そのものは知ってはいた。が、まさか〃食べ方〃があろうとは…。

うなぎに関してはこれまで比較的詳しい方だと自認していた。若い頃から赤坂「宮川」の料理も食べたことがあるし、テレビ長崎のT嬢からは「白焼き」の美味しさも、講釈ともども教わった。

もっと言うなら、以前に四国にいた頃は「養鰻会社」が大切な取引先だったし、それなりに名の通っている老舗には岳父の従姉妹が嫁いでいる。

それにしても残念なのは、島原から「てんぐ」(新町)がなくなったこと。ふっくら御飯に、白ミソの味噌汁。亡くなった濱田正夫先生(元島原市医師会長)や布井孝良先生(元長崎外語短大学長)からは随分とご馳走にもなった。

関東と関西で〃捌き方〃が違うことも知っていた。なのに「ひつまぶし」の食べ方(作法)を知らなかった。

インターネット上の百科事典「ウィキペディア」によると、御櫃(おひつ)の中身をしゃもじで「十」の形に切り分ける。これがスタート。

その上で、最初はそのまま茶碗に取って、そのまま頂く。次(二杯目)はお代わりをする様に「薬味」(ワサビ、海苔、みつば等)を乗せて食べる。

三杯目は、お茶(煎茶)か、もしくはだし汁をかけ、お茶漬けの要領で。最後は、前段の中から最も気に入った食べ方を選んで仕上げる。以上が基本的な〃流儀〃ということだ。

うなぎを英語で言うと「eel」(イール)。不思議とこの単語だけはよく覚えていて、ある時、観光バスの運転手が外国人相手に「ジャパニーズ・サカナ・ニョロニョロ」(!?)などとあぶら汗を流していた様も懐かしい。

そういえば、今村昌平監督(故人)がメガホンを握った『うなぎ』という映画もあった。確か役所広司と清水美砂が出ていて、カンヌの国際映画祭で何かの賞に輝いた。

うなぎはビタミンEを豊富に含んでいて、「視力回復や強壮剤」としても知られる栄養食品でもある。中堀町の「鰻泉」では、その〃生き肝〃を出していたが、この店ももうない。

「ひつまぶし」の不明から随分と横道に逸れてしまったが、何よりもそれに類する(?)ユニークな話を、元島鉄社長の松尾英三さんから以前うかがったことがある。

それは喫茶店のネーミングのこと。松尾さん曰く - 「これまで数え切れないくらい喫茶店にも入ったが、最高の命名は『ひまつぶし』だと思う」。

考えて見ると、本欄も「ひまつぶし」の一種に違いないが、ネタ探しに苦労しているということを、賢明な読者には何卒ご理解賜わりたい。