粉商売は儲かる!? - ムーディーは気持ち悪い -
‐(株)CATV島原専務 清水眞守‐
俗に「粉(こな)商売はよく儲かる!!」と言われるが、チラシに誘われて煎餅を買いながら「なるほど…」と思った。
いかに原料の小麦粉が値上がりしたとしても、「原価率」からしたら、さほどのことはなかろう。むしろ着目すべきは、味付け、商品イメージといった「ソフト価値」ではないか。
同じ「粉」を扱っても、覚せい剤などの「麻薬系」の稼ぎは、もっと群を抜いているはず。ただし、これは「商売」ではなく「犯罪」である。
そんなアホらしいことを考えながら店を出て、「どうして身を粉(こ)にして働く、などと言うのだろうか?」と訝った。
早速帰って手元の「故事ことわざ辞典」(学研)で調べてみたが、「苦労をいとわず、一生懸命に働くようす」との解説はあったが、語源についてはまったく触れていない。
同種の四文字熟語に「粉骨砕身」(ふんこつ・さいしん)というのがあるが、こちらの用例説明もいま一つだった。
それなら「字通(白川静)をひも解いて…」ということになろうが、何だが今朝方は気が重くて、その苦労を易々と厭ってしまった。申し訳ない…。
以前に読んだ宗教学者の対談集に「日本は米の文化で、中央アジア以西は小麦の文化である」という一説があった。
すなわち、小麦とは「パン」のことだろうが、お米を「粉」にした食べ物は「きりたんぽ」(秋田)や「五平餅」(岐阜)くらいしか浮かばない。しかし、これとて炊いたご飯をつぶしたものだから、厳密に言うと「粉」ではいない。
あー、こんがらがってきて、何が何だか分からなくなってしまった。だから、言葉は難しいし、面白いのだが…。
もう一度「粉」に戻ろう。化粧品の代名詞である「おしろい」は「白粉」と書く。「白塗り」の舞妓はんなどはその代表格であろうが、個人的な好みとしては余りいただけない。
おちょぼ口をきりっと結んでいる間は「綺麗だなぁー」なんて見とれたりするが、ニッコリ笑った途端に、歯の黄色さだけが目立つ。一瞬にして興ざめである。
英語で「化粧する」ことを「メイクアップ」(メーキャップ)という。これなどは洋の東西を越えた真実語(?)で、元々は「足りないところ補う」という意。つまり、「捏造」(ねつぞう)のこと。
事のついでに「ムーディー」について。最近ではちょび髭を生やした「ムーディー何某」というタレントが、鼻白むような戯れ歌をうたっているが、本来ムーディーは「気分がふさぎこむ」という意味なんだそうだ。
若い人間で喜んでいる輩も多いようだが、50歳を超えた身からすると、まったくもって気持ちが悪い。まさしく「名は体を現している」と言えよう。
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