2008/05/01

「忘年会」はそもそも - 酒は飲めずとも風を飲め -

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

半袖だとまだちょっと肌寒く、かと言って長袖を羽織れば暑苦しい…。贅沢を言えばきりがないが、薫風が心地よいシーズンとなった。

いよいよ5月、ゴールデンウイークも始まる。個人的には、今のところまったく予定なし。天気も良さそうなので、再び自転車で島原半島一周の旅に出ようか?まさか!!

先日、所用で訪れた銀行で、商工会議所の荒木専務から呼び止められた。何だろうと思って振り向くと、A4版の色付きチラシをひらひら。

「地酒でがんばを食おう会」のご案内だった。時=5月20日(火)、会場=南風楼。17時からの利き酒会の後、本格宴会に移るという。

会費三千円。定員になり次第〆切るということなので、申込みは早めに事務局(電話62-2101)へ。ファックス(62-2393)でもOK。

趣意書の部分を読み直していたら、同会の始まりは「昭和52年」とあった。ということは、もう30年以上も続いている、由緒正しき催しなのである。

だが、残念ながら世は挙げての焼酎ブーム。地酒どころか、ひと頃「まぼろし」と称されたバカ高い日本酒を口にする機会も、めっきり少なくなってしまった。

ところで、「まぼろし」と言えば、今年は『まぼろしの邪馬台国』(東映)である。封切りも11月1日に決定したというから、今から楽しみだ。

もともと「地酒 - 」の発案者も宮崎康平さんであることは有名な話だが、たまたま先ごろ紹介した永六輔さんの本『もっとしっかり日本人』にも、そのくだりが書いてある。

〈酒というのは、その土地の米を、その土地の水で、その土地の男たちが作ったもので、礼儀としてそれを飲まなきゃいけないんだ〉

〈旅先で酒を断ることは失礼だ。飲む真似だけでもしなさい。できるだけ大杯をもらって。飲むのができないんだったら、酒の上を渡ってくる『風』を飲め〉

その本によると、永さんは下戸(げこ)とのことだが、ひとしきり「忘年会」の由来について語った後で、宮崎さんから教わった「酒の飲み方」を紹介している。

このシーズンに「忘年会」だなんて、些か季節はずれの話題だとお思いだろうが、さすがに永さんの話は面白い!!いわゆる「そもそも論」である。

永さんによれば、「江戸時代には『忘年会』という言葉はなく、『年忘れ』といっていた。『年』というのは今年あったことを忘れるのでなく、『自分の年齢』を忘れること」なんだそうだ。

つまり、一年の締めくくり的な意味合いでの、昨今の「忘年会」の在り様は〃邪道〃なのである。

そうか、これでまた一つ利口になったぞ。今晩あたりスナックで!!またまた〃年甲斐〃もなく…。