2008/05/31

蟻には蟻の魂がある!!…巨象が口にする虚しき批判

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務清水眞守‐

親の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない。文字通り、「親の意見」の大切さを表した諺だが、「親でもない人間」からとやかく言われると、ちと受け止め方は複雑だ。

何日か前の民放テレビのワイドショーで、島原地域の災害関連の各種施設を、「税の無駄遣いの象徴」として告発する内容の番組が流された、という。

あいにく見ていないので論評のしようがないのだが、地域住民の誰しもが知っている方から、同番組に対する「憤りの投書」を預かった。題して「象と蟻」。

投書子はまず比喩的表現で、「突然、巨大な象が密林から現れて、その巨大な足で蟻の巣を踏み潰そうとしている」と前置き。名指しこそしていないが、巨象が「東京」、蟻は「島原」を指すもの、と想われる。

続く章では、歴史的な噴火災害を受けての数々の災害復旧・復興対策を、ハード・ソフト両面から総括。官民一体となって取り組んだ「がまだす計画」の意義と成果を唱えている。

その上で、昨年11月アジアで初めて開かれた「第5回火山都市国際会議」を通じて、確かに感じ取った「復興の手応え」を強調。併せて、世界各国の火山・砂防学の研究家から寄せられた評価(賛辞)の幾つかを紹介している。

さらにまた、今後の島原半島地域の重要方針の一つとして掲げている「ジオパーク構想」の動きについて言及。「将来を担う子どもたちの科学探求や自然保護思想の育成はもとより、防災思想の醸成にも大きな効果が期待できる」と。

同時に、「(今回のテレビ報道は)巨象が密林(首都圏)から島原(地方)に出て来て、小さな目でちょっと垣間見ただけの表層的な非難」「未曾有の噴火災害から復興へ向けての経過も何も知らない思いつき批判だ」と、バッサリ。

返す刀で「巨象は巨象なりの大問題(新銀行東京)を抱えているでしょう」と指摘。「どうぞ、ご自身の問題解決に専念していただき、地方の蟻が取り組んでいる『安心安全なまちづくり』には口を差し挟まないでいただきたい。蟻には蟻の魂がある」と結んでいる。

同番組を収録したビデオはいずれ見せていただくとして、素直に災害当時の状況に立ち返ってみても「都市部の人々からご批判を受けるようなことは、断じてない」と信じる。

いずれの災害対策も官民が一体となって取り組んだ、憲法第16条の精神(請願権)に基づいたもの。何より五百万人をはるかに超える署名の数が、当時の国民の声を明確に代弁しているのでは。

率直に言って、バブリー発想の「リゾート法」関連施設と、我が島原半島を同列に扱っていただいては困るのである。かつて、池田勇人首相は「山より大きな『猪』は出ない」と喝破されというが、どうやら今回の批判の主は「巨象」ならぬ「虚像」だったりして…。