2008/06/05

市原教授の講演から…ビッグな雛祭りはどうか

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

過日、元長崎総科大教授で、現在は山梨県立大学国際政策学部の教授となっている市原実(いちはら・みのる)さんの講演を聴いた。宅栄会主催。

1942年、千葉県生まれだが、大の〃長崎ファン〃。長崎新聞の随筆欄『うず潮』でも健筆をふるっている方だ。本日は、その中から特に印象に残った言葉を交えながら、稿を進めていきたい。

【役所は頼る先ではなく、お墨付きをしてくれる機関】=ともすれば、何でもかんでも行政体に依存してしまいがちな「街づくり」のあり方に、疑問を呈したもの。

市原さんは、山梨県韮崎市で進められている「味噌汁の会」の活動事例を紹介。余り肩肘張らずに、「失敗して元々…」というくらいの軽い気持ちで始めたら良い、と説く。

その際に大切なのは〃素人〃感覚。商売人にはない消費者の発想で、市の中心部に店を構えると、意外とうまくいく。蛇足だが、山梨県の県庁所在地である甲府市も中心街はガラガラの状態だという。

【出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない】=何事も〃中途半端〃は駄目だ、との喩え。ある友人にその言葉を送ったら、「出すぎた杭は引っこ抜かれますよ」と逆襲された。さーて、どちらが真実か?

【成果は小さく、喜びは大きく】=事業経営や街づくりに限らず、物事全般に通じる、ある種の智慧(恵)の一つだろう。

ともすれば人間は、欲をかき過ぎる余りに、本来の自分を見失ってしまう。小さな成功体験(達成感)が、後に大きく花開くことは多いものだ。

【ありのままを見せる。古い方が良い】=最近にわかに注目を集め始めてきた「グリーンツーリズム」を迎える地元(農家)の処し方について。

これからの観光地は「観る」だけでは、客は満足しない。何らかの「勉学の場」の提供が求められる。

田舎暮しの安らぎに都会人は憧れている。逆に言うと、都会の人々の心は、それほど病んでいる。

【儲けだけでは人は目を向けない】=これまた当たり前のようだが、いざ実践となると、なかなかに難しいのが現実だろう。

ただし、成功している街づくりなどの事例では、「儲けることは後から…」といったスタンスで取り組んでいる所が多い。

【ビッグな雛祭りの提案】=「葉っぱビジネス」ですっかり有名になった徳島県上勝町。隣接する勝浦町での取り組みを紹介。

空き家状態の農協の倉庫に5千~6千体の雛人形を集めて飾ったところ、1か月の間に10万人の観光客が押し寄せた。

その余波が千葉県勝浦市、三重県伊勢市などに伝播。すでに雛人形の「里子制度」が完成して交流が盛んになっている。島原半島でも手を挙げてみてはどうか?