2008/06/15

見つかった雨情の…森繁さんの〃ちょっといい話〃

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

〈烏(からす)なぜ啼(な)くの 烏は山に 可愛い七つの 子があるからよ…〉。童謡『七つの子』の一節である。作詞をしたのは野口雨情で、作曲は本居長世。大正10年の作だという。

その雨情が島原半島で遺した歌を探していたのが、先般の「ターニングポイント」(9日放送)に出演してくれた、島原市出身の歌手、大澤一恵さんだ。

番組の中でも言っていたが、1つは国見の旧家で見つかった『多比良小唄』。と、放送翌々日に「残る1曲にとうとう巡り合えた」との連絡が大澤さんからあった。

「私は口之津とばかり思い込んでいましたが、目指す作品は加津佐にありました。その名は『加津佐小唄』でした」。電話の声は少々興奮気味だった。

大澤さんの今回の帰郷の目的は、島原半島に眠る古い歌の発掘。すでに島原市では三会の『土搗唄』と出合えており、これで半島三市等しく再リリースされる公算が大きくなった。

この先の展開については、ファンの一人として静かに見守るのみだが、欲を言えば、不景気風を吹き飛ばすような〃パンチ〃の効いた作品に仕上げていただきたいものだ。

ところで「カラス」と言えば、先ごろの本欄で、〃糞害〃で困っていると書かせていただいたら、早速萩原の森岡百三郎さんから陸上競技用の号砲ピストルが贈られてきた。

今更その意図を尋ねるのも無粋である。「そんなに困っているなら、このピストルで追い払え」とのメッセージに違いない。きっとそうだ。

今朝も会社の玄関先には、新たなウンコ跡。頭にきたので、近くのスポーツ店に飛び込み「弾」を求めた。すると「記帳せよ」とのお達し。

一瞬「どうして」と思ったが、冬場に起きたナフコ国見店の強盗事件はまだ解決していない。昨今の社会情勢からして、警察関係者が神経を尖らすのも当然と言えば当然である。

しかし「弾」が手に入った以上、「撃ちたくなる」のも〃人情〃というもの。早速会社に帰って屋上で2発。残念ながら、カラスの姿は見えなかったが、夕方にはきっと…。何せ、まだ百発以上も残っているからな。

ところで、この『七つの子』についてネットで調べていたら、面白い話が幾つか出てきた。1つは「七つ」が頭数なのか、年齢なのかという論争。志村ケンが歌った「カラスの勝手でしょう…」という替え歌の件はさて置くとして、感動したのは森繁久彌さんの話。

ある時、盲学校に慰問に訪れた森繁さんは『七つの子』を歌おうとした際にハッと気付いて、歌詞を変えた、という。

演劇評論家の戸板康ニさんによれば、森繁さんは〈まるい『目』をした…〉という部分を、とっさの判断で『顔』に差し換えたのだ、と。何とも心温まるエピソードではないか。