2008/07/17

名付けはとても難しい…荒野さん「直木賞」に決まる

‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

7月14日は「パリ祭」(フランス建国記念日)と並んで、「芥川賞」「直木賞」の選考日とばかり思い込んでいたが、どうやら間違っていたようである。

ということで、今夏の第百三十九回目の受賞者は15日に決まった。芥川賞が、中国人初の楊逸(ヤンイー)さん。そして直木賞は、井上荒野(あれの)さんが選ばれた。

楊さんは44歳。中国東北部・ハルビンの生まれで、1987年に来日して以来21年目の受賞。日本語を母国語としている、選りすぐりの優れた文学者でさえ難しいのに、「スゴイ!!」の一言につきる。

一方の井上さん(47)は、作家の故・井上光晴さんの愛娘。このところ随分と頻繁にマスコミに登場しているなあ、という感じがしていたが、なるほど、こうした〃伏線〃が引かれていたのか。

それにしても「荒野」とは、随分と思い切ったネーミングである。さすがに〃硬骨漢〃で鳴った文学者だという気がする。

名付けに関しては、エッセイストの阿川佐和子さん(作家・阿川弘之さんの愛娘)が以前、面白いことを書いていた。兄弟のうちの一人の名前が、近くの青山墓地で見かけた墓碑から、散歩中の父親が拾ってきたもの、だと。

これを読んだ時は、腹を抱えて笑ったが、事実、名前を付けるのは本当に骨の折れる作業だ。筆者にも3人の息子がいるが、いずれの場合も命名したのは、岳父である。

長男の時は、我が家に久々に誕生した「男児」だったので、まったく出る幕はなかったが、次男の時には「今度こそ!!」と、腕ぶして臨んだ。

「命名辞典」を買い求め、朝な夕なに読みふけり、自信たっぷりに判断を仰いだ。しかし、結果は「そっじゃ、名前負けすっとん」の一言に沈んだ。

余談だが、本欄にも度々登場する三男坊の時は、家族全員ひたすら自然体(?)で受け止め、岳父の提案と同時に「そっで良か」とスンナリ決まった。

ところで、新聞各紙にも紹介されているように、井上光晴さんは若い頃に、現西海市の「崎戸島」で暮らしていた。筆者も何年か前に訪れたことがある。

その時は、鬼才!!深作欣二監督の遺児、健太氏が初メガホンを執った「バトルロワイヤル2」の撮影が、朽ち果てた〃炭住跡〃行われていた。

島にはこれといった施設もなく、町全体に寂れた雰囲気が漂っていたが、コバルトブルーの海の美しさだけは抜群だった。あの当時、「スケッチ」による町おこしを標榜していたが、あれはまだ続いているのだろうか…。

荒野さんも父親の文学碑が建つその島へ、幾度となく足を運んでいる、という。崎戸島には、何かしら郷愁を誘う昭和の〃原風景〃が確かに存在している。