真紀子節は炸裂したが…テレビと新聞の報道の違い
‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
相も変わらず、風邪なのか鼻炎なのか判らないグスグス状態が続いている。インフルエンザの予防接種は済ませているので、よもやその兆候ではあるまい。
一昨日からの生暖かい低気圧のせいで天候がすぐれないことが、その要因なのかも。その点、この方は元気ハツラツであった。
昨日行われた衆院本会議で、民主党会派から代表質問に立った田中真紀子女史(無所属)のことだ。夕方、散髪しながら民放テレビのニュース番組を続けて見ていた。
白のスーツに父親譲りのダミ声。現職閣僚は言うに及ばず、引退した二人の総理までヤリ玉に挙げた。民主党関係者にはさぞかし痛快であったろう。小沢一郎代表のにやけた表情が、そのことを如実に物語っていた。
一方、「口撃」を受ける側代表の麻生太郎首相は努めて平静さを装ってはいたが、その顔色からして、相当怒り心頭に達しているようにも映った。
真紀子女史は「稀代」と言っていいほどの演説の名手である。何より、その喩え方が並でない。思わず哄笑を誘うレトリックの巧さは抜群である。
茶の間の庶民は、そんな快刀乱麻ぶりに拍手を送る。そして、「さすがに『今太閤』と呼ばれた角さんの娘だけのことはある』と賛辞の声を惜しまない。
しかし、翌日の新聞を開いてみると、テレビ局の大はしゃぎぶりとは一転して、地味な取り扱いに終始していた。裏を返せば、「真紀子節は極めてテレビ向き」ということだ。
こんな事は、筆者ごときが賢しげに解説する話でないことは重々承知しているが、政治におけるテレビ報道の在りようを、もう少し考え直す必要があるのでないか。
国会中継は手を加えないので、格段問題にする必要はあるまい。あるとすれば、視聴率稼ぎの余りの「大衆迎合主義」だ。
となると、真紀子女史は「国会議員」という肩書きの付いた単なる「タレント」に堕してしまう恐れさえ出てくる。もっとも、最近はそうした手合いが増えているようだが、いかんせん「役者」が違う!!
目白の田中邸は豪壮な造りで知られる。大通りに面した、これまた堅固な門扉はとても「庶民派」とは言い難い。麻生総理の母校である学習院大学からもほど近く、椿山荘までも歩いてすぐだ。
質問で、真紀子女史は総理のダンディズムを痛切に皮肉って、「即時解散」を迫ったが、本当の庶民の立場から言わせると、お二方とも典型的なセレブ一家ではないか。
真紀子女史は自宅近くでフランス料理店を営んでおられると、ある雑誌に紹介されていた。一方の総理は九州を代表する企業グループの総帥の出だ。
言われるだけ言われて、爺さんがやった「バカヤロー解散」に踏み切れない総理の心中やいかに?
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