2009/02/03

ガンバレ受験生!!…ラ・サール志望軍団と出会う

‐株式会社ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐

野暮用が重なって週末から上京している。したがって、またしても『ターニングポイント』をお届けできない。その点を、まずもってお詫び申し上げなければならない。

ところで世の中は、今年もプロ野球のキャンプインと時を合わせたかのように、本格的な受験シーズンを迎えたようだ。今回は福岡から旅立ったのだが、諫早から博多へ向かうJRの車内で何やら異様な雰囲気の20名ほどの〃軍団〃と出くわした。

とは言っても、新興宗教の連中ではなさそうだ。席割の都合で、そのうちの一人が筆者の隣に座った。なりはでかいが、中学生だか高校生だか良く分からない。そのうちに、手垢にまみれたサブノートのようなものを取り出してブツブツ。ひょいと覗くと、字は汚いが、赤ペンの書き込みが物凄かった。

肥前山口を過ぎたあたりで、マスクをした〃テリー伊藤〃似の引率者が「鳥栖で『つばめ』に乗り換えて新八代まで行く…」などとそれぞれの座席に向かって囁きかけている。 そうか、やっと分かったぞ!この子たちは鹿児島の超名門「ラ・サール高校」の受験生なのだ!!

それにしても、この中から何人が合格するのだろう?隣席の生徒は大丈夫だろうか…などと勝手な想像を膨らませていたら、「まもなく鳥栖到着」の車内アナウンスが響いてきた。

と、件の〃隣人君〃はペコリと頭を下げて「失礼します」とニッコリ。何の変哲もない車内のやりとりだったが、とても気持ちが良かった。何の根拠もないが、きっとあの子は「トス→パス(合格)」だ!?   

都内のホテルはいま、受験生の親子連れで溢れている。エレベータの中でも頻繁に出くわすし、朝食会場ともなると〃百花繚乱〃の趣きだ。大概の引率者は母親のようで、顔つきを見れば「親子だ」とすぐ判る。      
                      
何せ、20年間の歳月を挟んだ〃相似形〃が連れ立って歩いているのだから。「そうか、この可愛らしい娘さんも齢を重ねると、こうなるのか」とも言えるし、「お母ちゃんも昔は美人だったのね」とも言える。

ひるがえって、我が受験期。寝台列車(さくら号)で上京した後は、親戚や先輩の下宿を転々と渡り歩いた。その際にお世話になった方々の何人かはすでに鬼籍に入られたり、或いは定年を迎えられたりと、まさに〃人生色々〃だ。

だいたい、引率されるとか、ホテルに泊まるなんていう発想はどこをどう叩いても出てこなかった。何年も洗っていないという真っ黒なコーヒーカップ、何やら難しげな哲学書、万年床、前衛劇団や、ジャズ喫茶のポスター類…。

今更どうしようも過去の事だが、不思議とこの季節には思い出す。「もう少し真面目に勉強していれば、少しは違った人生も歩めたろうに…」。そう、すべては〃後の祭り〃である。いや違う!!〃人生色々〃だったっけ。